自作の歌詞・詩・ライトノベル等のクリエイティブ系ポータルコミュニティサイト

ようこそ ゲスト さん

投稿したライトノベルにコメントがもらえるコミュティ

ライトノベル

[広告]

そらのいろ 最終話 (完結作品)

作: α´

「・・・」
「・・・」

純は健一を見上げたまま、答えを待っている。
健一は、純の質問に答えを見出せずにいる。

「うーん・・・」

なんだってお前はそうやって難しい事ばかり聞いてくるんだよ。
頭を抱えたくなるような難題だった。
常識的に考えれば「世界は一つ」なのだろう。地球は一つしかないのだから。
ならば、世界と地球とは同じだろうか。
違う気がする。何か、もっと別の所から違う気がする。
何が違うのだろう・・・。

「お前はどう思うんだよ?」
「僕?僕は・・・」

純も考え込む。二人して黙り込んだ。
時間だけがゆっくりと流れてゆく。

「僕は・・せかいはいっぱいあると思う・・」
「何で?」
「・・・ような気がする」
「理由は分からないんだ?」
「うん」

世界はたくさんあると言われれば、そうかもしれない。
そういう捉え方もありかな、と思う。
人によって見ているものが違うならば、それは、人によって見ている世界が違うと言っても良いのではないか。

健一は空を見上げた。

「なぁ、純」
「ん?」
「お前には、空は何色に見えてるんだったっけ?」

純が空を見上げる。

「薄紫色」
「そっか。俺には青色に見えるんだ」
「うん。本当は青色なんでしょ?」

健一は純に視線を戻す。

「“本当は”?」
「みんな言ってた。そらは青色に見えなきゃ、へんだって。僕は薄紫色に見えてるから、それは、へんだって。病院の先生も言ってた」
「医者も、お前が変だって言ったのか?」
「僕の頭のどこかが、みんなのと違うんだって」
「・・・・」


純の横顔は少し淋しげだった。
深い孤独の中に静かな諦めが横たわっているような表情。


「違う・・・」

思わず呟く。純が不思議そうに顔を上げる。
健一は純を真っ直ぐ見つめて言う。


「違うよ。お前はおかしくなんかない。ただ、他の奴らと見えてる世界が違うだけだ」
「見えてるせかい?」
「純にとっては空は青くなくて、薄紫なんだろ。俺達には青に見えるけど、どっちが本当かなんて分からないじゃないか。本当は薄紫かもしれないし、もっと別の、どっちでもない色かもしれない。偶然、俺には青く見えて、純には薄紫に見えてるだけかもしれないだろ」
「?」


純は小首をかしげている。
興奮して一気に喋ったせいで、上手く伝わらなかったようだ。
深呼吸し、心を落ち着かせる。


「俺はさ、お前の頭がおかしいなんて思えないんだ。お前の言ってる事とか、描く絵とか、
 そういうのを“下らないもの”として流せない気がするんだ。ここまでは分かるか?」
「うん・・」
「それでさ、もしかしたら空の色だって、俺には青色に見えてるけど、純には薄紫色に見えてるわけだろ?」
「うん」
「どっちが間違ってるなんて分からないだろ」
「でも、みんな僕がへんだって言うよ」
「お前がみんなと少し違うだけだ。みんなが正しいって言ってる事が、絶対に正しいっていうわけじゃないんだ」
「そうなの?」
「ああ」


純はまた考え込み、そして、ふと悲しい顔をした。


「どうした?」
「じゃあ・・みんなはどうして僕を仲間はずれにしたの?みんなは間違ってたかもしれないんでしょ?」
「弱いからだよ」
「よわい?」
「人は弱いから、自分と違う奴を認めなかったりするんだ。みんなと一緒じゃないと仲間はずれにしたりするんだ。そういうのを、大人は“出る杭は打たれる”って言って済ませるんだけどな」
「わかるような、わかんないような・・・」


純は額にしわを寄せて悩んでいる。
思わず吹き出してしまう。

「なに?」

健一は立ち上がり、純の髪をくしゃっとかき混ぜる。

「わかんなくても良いよ。今は」
「良くないっ。寝られないっ」

純が抗議する。幼稚園児のような言葉で、哲学者のような思考を話す。
自分を見上げている純は、まるで弟のようだった。
一緒に住むのも悪くないかな・・・そう思い、ふっと微笑む。
いつの間にか、随分と丸くなったな。純と出会ってからだな。


純の瞳を真っ直ぐ見つめる。

「お前はおかしくなんかないよ。見えてる世界なんて、人によって違うんだから。
 空の色だって、分からないんだから」

純も健一を真っ直ぐに見つめている。

「そうかな」
「そうだよ」
「先生はいわなかったよ」
「先生も知らないんだろ」
「でも健一は知ってるんだね」
「ああ、俺は知ってる」

二人は顔を見合わせ、くすっと笑う。

「じゃあ、健一は天才なんだ」
「そうだよ」
「ししょうだね」
「師匠か・・悪くないな」


痛みで出来た世界。二人だけの空間を緩やかな時間が流れる。
冷たい風が吹いても、心は寒くなかった。
孤独だった二人の少年の心は響き合い、綺麗な音色が鳴った。


「帰ろうか」
「うん」

健一が差し伸べた手を、純は迷わず掴む。
たくさんある世界の中。
そのうちの一つは、今此処に出来た。

温かな掌の中。

空は言葉の要らぬ色をして、二人を抱きしめていた。





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
第二話あたりから これどうやって話締めようかと悩んでた。
考えながらパソコン打ってた。

書きたい事は まぁまぁ書けたと思う。

※このライトノベル"そらのいろ 最終話"の著作権はα´さんに属します。

このライトノベルの評価
評価項目評価数
共感 1
合計 1
[広告]

このライトノベルのURLとリンクタグ

このライトノベルのURL:
このライトノベルのリンクタグ:

このライトノベルへのコメント (2件)

虹風

2010年2月9日 00:32

このライトノベルを評価しました:共感

「人は弱いから、自分と違う奴を認めなかったりするんだ。みんなと一緒じゃないと仲間はずれにしたりするんだ。そういうのを、大人は“出る杭は打たれる”って言って済ませるんだけどな」

実に、αさんらしい決め台詞でした。

こういうストレートな書き方は・・・。
読む人が読んだら小説としてどやねんと言われそうだけれど、αさんらしくて良かったかなあ、と僕は思う。

僕なんかも先がまったく読めなくて結構不安だったけど、それらしくすっきり終わってくれて安心しました。
確かに空の色くらい何色に見えてもかまいませんよね。薄紫綺麗だし。

一箇所だけ気になったのは、絵を見せるシーンと絵の内容を説明するシーンを区切るなら、説明のシーンの方にも絵がどんな絵なのかをもう一度言ってほしかったかな。ちょっと、分かりにくかったので。
でも、そこ除けばすごくいい作品だったと思います。

α´

2010年2月16日 14:23

虹風さん

これ 普段思ってる事+経験をそのまま書いていったんです
学校とか行きながら構想練って パソコンに向かい合ったら書くっていう

もう ホント 途中からどういう風に話進めたら良いのかって
すごい悩んだけど 何とかなりました
言いたい事も言えたし 書いてよかった

絵のシーン 自分でも悩んだんですよ
どうやって書けば分かりやすいか ちゃんと伝わるかっていうのが
全然見えなくて
実際 絵を挿入できれば簡単だったかもしれないけど
手書きだったら 絵を入れられるんですけどね・・
下書きあるから 何か惜しい気がします

反応が返ってきて密かに安心してます
コメントありがとうございました

コメントを書く

登録済みのユーザーは ログイン してください。
登録済みでない方は 新規登録 してください。

新規メンバー登録(無料)
  • 公式サークル みんなの歌詞
  • 公式サークル みんなの詩(ポエム)
  • 公式サークル みんなのライトノベル

サポートサイト

月刊minkashi
きつね☆ちゃんねる
ROCK ON MINKASHI