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静かなる森のスーパー (完結作品)

作: そらのあお

静かなる森のスーパー

日が暮れた静まりかえる漆黒の闇は獣たちの活発な時間帯
草木に覆われた森に潜む野獣どもたちが獲物を求めて集まる
獲物の残り物を頂くハイエナどもたちも群がる
空を支配するコンドルもまた残飯を求め冷戦になるまで羽を休めていた
池にはワニやカバも匂いを嗅ぎ付けてきた
辺り一帯はゾウやバッファローも群をなしてきた
その後ろには百獣のライオンも狩りをし始めた

混沌する壮絶な戦いの歴史が始まる

今にもやいばを向け、唸り声が聞こえてきた
血と肉を求め買い物客がひしめく中
お弁当コーナーの陰でうごめく数人の隠者が潜めていた

いまもなお野獣化するような目つきでどこか見つめていた

お弁当に20パーセント割引シールが貼られ始めた

轟音と共に亡者たちが一斉にお弁当コーナーに走り出す

だが、一時休戦

獣たちはまだまだ値引きされるまで潜むことに
彼らは生きて行く為に必死でお弁当の値下がりを息を潜めていた

ある者はお弁当コーナーに近づいては離れて、値引きシールを探していた

そしてまたある者は、遠くから鋭い眼差しで店員の動きを今かと観察していた

さらに、またある者はヨーグルトを手に取って見るふりをしてお弁当コーナーをじっと見つめていた

またまたある者は、お弁当コーナーを見ないふりをするフェイントをかけ、私は違う惣菜を買いに来たんだと通りすがりを装っていた

割り引きシールが貼ってあるお弁当を求め、
このお弁当コーナーの周りに隠れているのだ

そして10分後、店員がお弁当にシールを次から次へと30パーセント割引のシールを貼っていた

それを見た野獣どもは獲物を狙う目つきで爪を立て今にも襲い掛かろうとしていた

お互い弁当を奪い合う戦いが今始まろうとしている
敗れ去る者
負けて泣く子供たち

中にはラグビーボールのようにお弁当を家族内でパスし合い、連携してレジへと運んでいた
そうしなければ、ハイエナどもに割り引き弁当を奪われるからなのだ

そして20分後、さらに恐ろしい時間がはじまる
店員も半額シールを貼るか時計を見ながらじっとお弁当コーナーを這いつくばっていた
店員は少しでも高く売りつけたいのだ

時間と粘りながら店員の我慢勝負が続いた
まるでライオンに囲まれたシマウマ店員
逃げることなんてできやしない
なるべく定価で弁当を買ってくれと言わんばかり

そしてその5分後
殺気に満ちた者たちの顔色が変わった
いよいよ半額シールがお弁当に貼られはじめた

アイスクリームの柱に隠れていたOLがチーターのように全速力で駆け出してきた

お菓子コーナーの隙間から見ていた探偵風の老人が走り幅跳びのように高く飛んだ

ビール棚にいたサラリーマンが遠吠えをはじめ、お弁当コーナーに駆け寄る

火花を散らし半額のお寿司を手に取る
この熾烈な戦いは2時間も経過していた

髪を引っ張りながら相手からお弁当を奪う
これはまさにプロレスを見ているかのようだ

家族分の夕食の半額お弁当が確保できなければ、今夜は飢え死してしまう
生きていくために半額お弁当は生きる望み
ライオンがねずみを獲るように、これはお弁当の争奪戦なのだ

スーパーには半額お弁当を求めてうろついている者がうじゃうじゃいる
そのお弁当コーナーを何周も回っていたり、違うとこに行っては、また、お弁当コーナーに来て半額シールが貼ってあるか見にくるのだ

この光景は見るに耐えないほど笑ってしまう
これが日本の現実だと知る

半額に生きがいを感じる者たち
半額になるまで夕方18時半から19時半まで1時間も店内いや檻の中にいるような感覚でぞろぞろとうろついているのだ

そして恥ずかしいことに作者もその中の一人なのだ

終わり

写真は目つきがチーター顔の森の獣人をイメージした猫です

※この小説(ノベル)"静かなる森のスーパー"の著作権はそらのあおさんに属します。

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