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「休日の家」 (完結作品)

作: 第1回みんなのライトノベルコンテスト作品

はじめに
「休日の家」とは建築家・故今中敏幸氏によって建てられ、1972年にオープンした喫茶店である。広島市北部、安佐町久地にある。西中国山地を源流とし、瀬戸内海に注ぐ太田川の西岸に建てられた山小屋風の店である。
 第一級河川太田川は、「休日の家」の少し下流である安佐町飯室付近から東岸に国道191号線、今はなきJR可部線とが合流する。その国道は、県北西部そして島根県益田市へと続く重要なパイプラインとなっている。川と道が一体となって永い間、時空を超えて人々の生活を繋いできた。歴史ある「街道」だ。
 広島市北部の可部あたりから上流に向かうにつれ、川は蛇行を増す。東岸の賑わいとは対照的に西岸は蛇行に沿うように自動車一台がやっと通れるような、いわば「生活の道」が延々と続く。
 人々は川と山の狭間にある斜面や、わずかな平地に家を建て、土地を耕している。「休日の家」もこの西岸に位置する。斜面の勾配を利用してコテージの様な造りの建物を川沿いに並べている。居住棟も含め数棟の建物が建築されているが、そのうちの一棟が喫茶店「休日の家」というわけだ。
 店内には今中氏のこだわりの品々が趣味良く置かれている。開店以来、今中氏の「生き様」に触れ、共感し、常連になった客も数多い。92歳でこの世を去られた後も、奥様の手で店は守られ、その「遺志」は継承されてきた。奥様が語る「今中氏との破天荒な人生」、台風の濁流に流されそうになりながら守り続けた「休日の家」。そんな逸話に涙した人もいると聞く。その奥様も昨年の十一月の末に他界され、残された者たちにより今後の姿が模索されてきた「休日の家」。対岸の国道から遠めに何人もの「常連」がその行く末を案じていた。
 しかし、ついに2008年1月、新しい幕が静かに上がった。この日記は「常連」の一人であった私が、いつしかこの「歴史ある店」の再建の一翼を担うことになり、オープンした初日から書き始めた「休日の家の」新しい歴史である。

※この小説(ノベル)"「休日の家」"の著作権は第1回みんなのライトノベルコンテスト作品さんに属します。

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