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きみにたいする友達の突然の殺意はキンモクセイの香りのように増えた (完結作品)

作: merongree

エリーそこに何秒いたっけ 別にたいした長さじゃなかった
だって目的といえば何か他人に依るものじゃないから
ただ単に
ただ単にだよ、よく私たちの情動が邪魔くさくて「ただ単に、」って
言い方覚え出したときのエリーは、ほんとうによく
「ただ単にだよー」って言った
語尾を伸ばしたら少し柔らかく相手にとどくと思ってる 
そんな事さえいつしか身につけ出した聡明なエリーが
なんだかやるせないもののように思われた 
その事もキンモクセイの匂いのように強烈に覚えてる
なんなんだろうねその意味

エリーが何秒居たかはわすれたけどとにかくそんとき私の背後にいたんだ
決して殺気立つ浩明に対して何か思ったりとかじゃなく 
私に庇われたり声をかけられたりするためなんかじゃなく
むしろ野蛮な私たちの空気を尊重していて
大人しく順番待ちするみたいに後ろに居た 
あと少し何かの順序がずれていたら彼女は
人間にばけたキツネみたいなへんな仕草であの長い手の甲をひっくりかえして
「あの…おかまいなく続けてください」とかそういうゴーアヘッド的なことを
ファインダーでも覗いているような平気さで浩明に言っただろう
あの…とか付けることは覚えてたけど どうにもこうにもお構いなくなんだな
お前が主題 お前を殺せるのかどうか 私が問われてる その状況でも 全然

私はエリーに対してリアクションすることは簡単だった
ただ単にエリーそこ通っていいよと言えばいいのだ
そのことは容易 問題は浩明 問題は彼の正当性 私達が問題にしているのは
エリー宇宙人とかそういうことじゃなく 浩明彼の言ってることが多分正しい
そのことを正しいと認めるのは私 それにたぶん 聞かなくてもエリーも賛同
そのことがとても辛い 何で点滅するみたいに考えたのだろう とにかくそう

エリーが、私があらいざらい
「そういうわけで私エリーを排除するためにあなたを撃ち殺さないと
いけなくなったわ」などと打ち明けたところで彼女はたぶんまず
「えなんで??」と言って私の幼馴染がそうしないと赦さないのと
言って私、彼の言うことが正しいと思うから実行するのとでも
打ち明け、あとは私たちあなたがとても怖いの、何もしないでも
私たちを駆逐するんじゃないかと恐ろしいから故郷から家族から
あなたを乱暴に追放したいからこうするしかないのとでも言えば
「そうするしかないよ、」とたぶん冷静にけつろんを出させる 
そして多分こうなる その事の実現可能性は別としてもあなたは
そうするべきだ、みたいな事をいう 自分がその事をどう思ったか
とか、

果たして私達がこんなに長年近所に暮らしているというのに、
初めて会ったゾンビのように対峙しながら震えている原因である、
エリーの得体の知れなさへの恐怖というものが
果たして実態に見合ったものなのか単なる私たちの妄想か、
そのことへの答えは一切示さず、ただ単に
「実現する可能性は別としてあなたはそうやって行動するべきだ。」という それで私を食い殺すかもしれないということは別に否定しないどく……

そういえば、と思った 私はそこまでスムーズに考えたけれど
ようするにそれってステレオタイプのおかげなんよな、と思った 
昼間やったらエリーが熱心にみている
ふるい洋画のエイリアン物なんかにあるみたいに 
何か得体の知れない宇宙人が突如地球を侵略するためにやってきて
地球人が水分をすいとられてしわしわの洗濯物みたいに
なってしまうとかそんな感じの展開

ああなるんじゃないかっていうのを浩明は恐れてるんだよなと思った
映画とかみて「面白い??合ってる??」ってエリーに訊くと相槌など打ちつつ
面白いよーーこれはあなたたちの事がよく分かるんだよーーとか
言いながら見てるだけで少しでも合ってるとは言わない

でも、なんか意味は理解できるとか言ったことがあって 
それってエリーの星であった事と近いのかしらと考えたこともあった
エリーの星であったことって書かなかったけれど
私はエリーにほんとうに最初のころに経験させられた  まあ文字
通り経験させられた
3Dのメガネでみる映画よりもリアルに経験させられた 
その事の意味は分からないが
自分が宇宙人だっていうことを明かしておくのがフェアだからとか
何とか
なんかそんな感じのスタンスだったんじゃないかしらと思う
フェアということは高級な生き物を自称する上で自分に課してることで
要するに低級な私たちに対してすることにエリーなりのルールがあった
そのことの中に私達を攻撃していいということが含まれていたかどうか??
エリーの星のなかで起こったことが、その攻撃を、悲劇だと見做していたら??
私たちにはそれをしないでくれるだけの歯止めが感情にかかっただろうか??
いや「どんな搾取をしようともあなたたちに対しては何の同情も
沸かない、その事は誰かの考えじゃなく私たちの生理から沸いて
くる自然な感情だ」と
明かすことが彼女のフェアプレーだったんだから単に普通に攻撃したかな
私は回想の手ざわりに溺れながらこの浩明の突きつけたざらついた
現実をどうにかまぬがれようとして廊下で棒立ちになっていた

エリーはまるで黄色と黒の縦じまの遮断機が下りている間
運転免許を持っているワゴン車のようにひたすらに黙ってた
そこを押して通ろうとはせず ただ蝉が鳴く様にうるさい静止
状態を彼女自身が連続していた

私から彼女の表情はみえなかったが明るかっただろう 浩明の
表情は玄関からの逆光になってよく見えなかったけれどもつまり
浩明からエリーの表情ははっきりと見えたはず 睫毛の数も
ほんの少しだけ人間より大きな左目の涙袋なんかの影とかも
あるいは彼に向かってウインクでもしかねない彼女の野蛮に対する
天性の尊敬とかそんなものまでも見てとったかもしれなかった

ここで言っておかなければならないのはエリーはバイオレンスとか
暴力が好きなわけでは決してないのだけれど
私たちのする野蛮な関係のもつれた光景を絵画みたいに好んだ
彼女にしてみれば私たちみんな野獣派とか印象派とかそんなセンスで
お互いに敵対し合っている
一切影を描かないで人物を大首絵にした浮世絵をヨーロッパ人が
見るみたいな昂奮をするらしくて多分見ないけどそういう顔つき
そういう顔つきをして浩明の向かい側に立ってたんだと思う

日本に来た外国人のようにどぎついほど厚塗りの日本のカルチャーの
野蛮な色彩にさえなぞと思えるほどの燃える感動を冷たい石のような
頬に表して 
らんらんと眼を動かしてああこれが浮世絵で素晴らしいなっていう
態度で私と浩明がやっている騒乱を何となく写生するみたいに眺めてたのだろう
エリーはそのねばついた殺気なんかまるで彼女の好んでいる絵筆の
色彩のタッチぐらいに平気で鑑賞しながらそっとかんぬきを外す
ような静かな仕草でふたたび部屋へと引っ込んだ
私達を遮断しないため 私と浩明のあいだに黴のように繁殖しつつある
エリーにたいする突然の殺意をそのままに保護するため

私たちを平気で横切らなかっただけでも彼女が何か重要な考えに占められていることぐらい
ことぐらい私にはすぐに耳で聞いたように分かったんだけれど
まあ浩明にしてみれば 浩明という言葉でなくそのときの彼を
包丁とかそういう言葉で表してそのときの私のせつなさを誰かに
洗いざらい打ち明けたい このときの記憶を思い出すと今でもその思いで
自分自身が締め付けられるようにとても苦しいのは どういう訳なのだろう
私は真綿でくるんだ包丁を持っていた
ようするに浩明には逃げたってみえたんだ
エリーがそのとき
エリーが浩明をみて何かを思い立って逃げたんだと思った
私がエリーが部屋に戻っていくのを肩越しにみるように眺めながら
立ちはだかるように浩明の前から硬直して動かなかったこととか
そのことが浩明をもんのすごく刺激した
もともと
正義感にかられるやつってそうなんじゃないかって疑うんだけれど
自分の正義にたいしてつのかくしみたいなわたぼうしみたいなああいう
白くて立ちふさがるものがつねに世の中から儀礼的にかぶせられてる
なんかそういう風に感じるっぽいんだよね 私のあいまいなむやみな
同情心にばかり溢れているわりに何にも肩入れしているわけでもない
無頓着な親切さみたいなものがそれに匹敵するらしくて
よく攻撃されたけれど

エリーの正体がなんだろうと実際に私たちに害意があろうとなかろうと
浩明の性質にとって致命的に駄目なんだって分かったのはそのときで
気づいたらもう浩明は私を踏み潰したような位置に居て
エリーの居る私の部屋に向かってずんずん入って行った
案外冷静だっていうふうに気づいて
つまりその殺意が本気なのだと分かって悲しかった
それで、幼馴染がうちにいる宇宙人を殺そうとするのを
私はどこか容認しながら眺めていた そのことをその当の宇宙人も多分
容認することをひしひしと感じながら
まるでそういう記憶がどこかに当時通訳されているかのような感じを感じつつ
その中継されている映像のなかに自分がへたり込んでいるのとただ眺めていた
エリーなら多分私より先に「このひとこうなるねー」って昼間ずっとテレビをみている
キャリアを生かしながら画面にうつる虹色の人影を指さしつつその後の
展開を当ててしまったんだろうなあーって思った
「どうして分かるの??」というとずっとテレビ見てるんだから分かるよっていう
私はずっと浩明とは近所に住んでいてエリーとは一緒の部屋で寝てたんだけれど
ふたりが背中越しにどういう対面をするかなんて
浩明がエリーを殺すんだということ以外に予想ができなかった
それしか期待しなかった

※この小説(ノベル)"きみにたいする友達の突然の殺意はキンモクセイの香りのように増えた"の著作権はmerongreeさんに属します。

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この小説(ノベル)へのコメント (2件)

沙藍

'11年10月29日 00:15

この小説(ノベル)を評価しました:おもしろい

こんばんわ。

え…エリーはどうなってしまったのでしょう(涙)
やっぱり面白いです。

merongree

'11年10月29日 07:13

>沙藍 さん
コメントありがとうございます!!まだ出てきますーー笑
エリーが誰かに知られているということが何か奇蹟みたいです。。
次回ちょっと長くなったのですがすぐアップできると思います><

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