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ストロボ・スターズ!第三話「笑顔のために」 (完結作品)

作: 泰行@卵かけご飯

<1>


はに子「そんじゃ、お父さんあたし学校行くから!」

正治 「ん・・・」

新聞越しに気のない返事を返すお父さん。
あたしはガスコンロのノブを回し、火を止めると
エプロンをノックに掛けてカバンを取る。

はに子「あ。おはよう、柚ちゃん!」

柚  「あ・・・」

リビングの扉で柚ちゃんに出くわす。

はに子「ごめんね、急ぐの!じゃ、行って来ます!」

正治 「おう」

柚  「・・・。・・」

正治 「寂しいか?」

柚  「・・・コク」

正治 「ミルクあっためてやる」

柚  「・・・コク」


<2>


早朝の屋上。
まだ、運動部の朝練習すら始まらない時間。

心矢 「1、2、3・・・1、2、さ・・違う!
    そこは、一息置くって言ったろ!」

はに子「・・・っ」

柚ちゃんに笑って欲しくて、あたしは必死に食い下がる。

そう。後1日、あと1日で柚ちゃんは帰ってしまうんだ。

伝えなきゃいけない。
届けなきゃいけない。

何にも出来ないなんて、絶対にいや!

心矢 「休むな!どんどん行くぞ!」

はに子「うん!」


<3>


教師 「この値域には実数と複素数の・・・」

先生の声が意識からずっと遠いところにあった。
あたしはひたすら右手と左手を動かし続ける。

心矢 「・・・」

【心矢のギターメモ!】

今右隣ではに子がやっているのは、俺が教えた速攻習得術だ。

ギターに関わらず、新しい楽器を始めるにあたって
理論を分かっているのか、そうでないのかは
天と土地ほどに練習内容がかけ離れてくる。

俺が教本を推奨しない理由は
教本の内容がそのどちらでもないからだ。
詳しくは割愛するが、そんな中途半端な物を見て混乱するより、
初心者は体に覚えさせたほうが手っ取り早い。

まず、左手の形だが人差し指で5弦(太い弦から2番目)に置く。
次に、薬指をそこから2
フレット目の4弦(太い弦から3番目)に置く。

これで、押さえる形が完成。

さらに小指を薬指の下、3弦に置けば音が広がりを持つが
上の二つでも十分だ。

後はしっかりネックの裏から親指で固定すればオーケーだ。

これを『パワーコード』と呼ぶ。

ギター初心者の大半はコードチェンジでつまずくが、
このパワーコードはこの型のまま
左手を好きな場所に動かせばいい。

それだけで、かなりの数の楽曲に対応出来る。


心矢 「(あとは、右手のリズムキープ・・・)」

はに子「っ!・・・くっ!」


<4>


はに子「いっつ・・・・」

湯船に浸かると左指がきしむ様に痛い。

心矢の方法でもこの傷みだけは避けて通れない。

柚  「はに子・・・」

はに子「え!あ、柚ちゃん!?」

柚  「入っても・・いい・・・?」

はに子「もちろん!」


ガチャ・・・


浴室の扉が開き柚ちゃんが入って来た。
とっさに指をお湯から遠ざけるあたし。

柚ちゃんは掛け湯の後、お湯に浸かると
あたしの隣で・・・俯いた。

柚  「わたし・・・。その・・」

はに子「ん?」

柚  「・・・」

柚ちゃんはそのまま黙り込んだ。

あたしは彼女といて気づいたことがある。

辛いとき「辛い」と口に出来る
ひとはそんなに多くない。
でも、表情でそれが伝わるから言葉はいらない。

柚  「・・・」

だけど柚ちゃんは表情という概念が分からない。
笑顔を見たことがないから、
楽しくても笑うことすら出来ない。

悲しくても悲しみを理解してもらうことも出来ない。

そうしているうち、誰も彼女のことを
理解しようとすらしなくなる・・・。

はに子「柚ちゃん。あたしの顔触ってよ」

柚  「え・・・」

はに子「ほら、手をこうして。こっちの手はここ」

柚  「〜っ」

だから、あたしは伝えたいんだ。

はに子「どう?」

この体でこの心で。

柚  「変」

はに子「なんだとぉ!?」

柚  「キャ」

はに子「おみまいするぞ〜、こーだ!こーだ!」


ひとりじゃないって。



<5>


心矢 「冗談だろ?」

昼休みの屋上。
心矢との最後の練習。

はに子「うんん。やるって決めたもの」

心矢 「お前の歌ねぇ・・・」

あたしは心矢にオリジナル曲をやりたいと言った。
人の曲じゃ駄目なんだ。
自分の言葉でないと・・・。

心矢 「いくらなんでも無茶だろ?だって柚ちゃん
    日暮れには帰るんだろ?後、半日ないじゃないか・・・。

    今から作ってお前が弾ける曲。作るにしても覚えるにしても
    時間がなさすぎだ・・・」

ベンチの横で頭を抱える心矢。
こんな時だけど、心矢のいいところを思い出した。

自分のことのように一緒に悩んでくれる。
昔っからそうだったな・・・そう言えば。

はに子「曲は・・・あるもの」

心矢 「は?」

はに子「さっき思いついた」

心矢 「うそだろ・・・」

あたしはすっくと立ち上がり。

誰もいない屋上の真ん中へ歩いていく。


風が心地いい。


海の先まで見える。


瞳を閉じて・・・心で感じて・・・。


音のままに。


伝えたいままに。



心矢 「・・・・・・・」



<6>


父親 「さあ、柚」

正治 「なあ、古庄。もうちっと待ってくんねぇか」

父親 「済みませんマエストロ。これから明日の準備もありますから」

正治 「そうか・・・」

柚  「・・・」

正治 「あいつに言っとくことあるか?」

柚  「・・・。・・・っ」

少女を見送ると店内に戻る正治。

しばらく思いに耽ると、受話器をとった。

正治 「世話の焼ける娘だ・・・」


トゥルルル・・。



<7>


海岸沿いを進むリムジン。

柚  「・・・」

父親 「大丈夫だよ、柚。お前だけなら、
    会いたければいつでも会えるんだから」

柚はただ俯いたまま何も言わない。

父親 「・・・」



ぴーーーーーーー!!!!!



けたたましい電子音が何処からともなく
鳴り響く。

柚  「っ」

父親 「なんだ、騒がしい。どうした?」

執事 「はて、この先はたしか学園でしたが・・・?」



???「ゆずちゃーーーーん!!!!!」



柚  「!」


父親 「こら、やめなさい柚!」

突然、ウインドウを開き窓の外を覗く柚。




はに子「ゆずちゃーーーーん!!!」




柚  「どこ!どこっ!!」

見えるはずもない景色に大事なひとを探す。



はに子「あたしの歌を聴いて!!!!」





『星の海』


かつて希望だったこの星に 敷き詰められた乾いた砂

拾い上げてみても 何一つ、手に入れられなくて


だけど、悲しい涙が零れて

やがて少しずつ 固まり始めるの

君の残した思いが 世界をこんなにも変えていく


  それは満点の夜空のように輝いて

  けして孤独にさせない星の海   
  
  大切な君なら必ず会えるよ
  
  だって 夜空はめぐるんだもの 




心矢 「行っちまったな・・・」

はに子「・・・」

心矢 「けど、少しくらい・・・あ、いや半分くらいは
    聴こえたんじゃ・・っ」

あたしの顔はグシャグシャだった。

心矢 「はに子・・・」

はに子「あたし・・・ぐっ、なにも・・なにも・・・
    して、あげられなかった・・・」

悔しい。

くやしい。

心矢 「・・・」

はに子「わかってたのに・・・あたしが、努力すれば
    努力するだけ・・柚ちゃんを・・ぐすっ、
    一人にしてたっ・て・・」

心矢 「バカ」


心矢はそっとあたしを抱きしめてくれた。   

  

<8>


カチャン!

ブラシを乱暴に放り投げる心矢。

心矢 「ちくしょう・・・なんで、ルシアーの俺が
    便所掃除なんか」

はに子「ばかじゃないの!?あんたも共犯じゃない!」

あれから一週間が経っていた。
あたしと心矢は「放送設備の無断使用」
並びに「近隣への迷惑行為」の罪で
トイレ掃除の刑に処されていた。

心矢 「よし!上等だ!表に出ろ!」

はに子「はあ!ブツブツ言ってないで
    早く便器磨きなさいよ!」



???「もし・・・」



二人 『?』


???「職員室は・・・どこ・・ですか」

はに子「・・うそ」

心矢 「なんで」


柚  「わたし・・・一年に・・へ、編入しました・・
    古庄 柚・・・と、いいます」



あたしは全力で友達を抱きしめた。






次回予告!!!

錆びれた洋館に響く謎のピアノ・・・。

練習場所を探していたあたしたちは
偶然、曰く付の洋館に迷い込むの。

ちょっと!柚ちゃん!?
誰と話してんのよ!?

足音が一人多いとかやめてよーーー!!!

次回!ストロボ・スターズ!「届かぬ手紙」

あたしはミュージシャンになりたいの!
エクソシストになりたいわけじゃないの!!


※この小説(ノベル)"ストロボ・スターズ!第三話「笑顔のために」"の著作権は泰行@卵かけご飯さんに属します。

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この小説(ノベル)へのコメント (4件)

__

'11年3月22日 17:26

おぉぉぉ!!!もう三話が!!!次どうなんの?ねぇ、次どうなんn(((

ゆのん

'11年3月23日 12:37

この小説(ノベル)を評価しました:おもしろい

なんだかギターが欲しくなってきちゃいましたww
まさかの次は幽霊登場ですか!?ww
柚ちゃんかわいい*´ω`

澪+

'11年3月23日 16:54

続きがめっちゃ気になります!!←
面白すぎですよおお(๑→ܫ←๑)
早く読みたいでs!(((

泰行@卵かけご飯

'11年3月24日 09:54

みなさん読んでくれてありがとう!
みなさんの応援が私を支えています。

それから誤字脱字が多くて、ごめんなさい!

一応良い訳・・・。

だいたい、この旧型パソコンのせいですw

とにかく重くて、打ったつもりが入ってない!
押したつもりが入ってない!
押してないのに処理落ちで変な文字が入る!w

ちゃんと暇をみて修正しますので、ご容赦ください。

自分で言うのもなんですが、物持ちがいいせか、
本気で動かなくなるまで家電は使っています。
テレビなんかチャンネル押すと音量が変わるんです!?

ついでにパンツも破れるまではきますw

私がPCを買い換えるのはいつになるのか・・・。

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