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ストロボ・スターズ!第二話「暗闇の中の少女」 (完結作品)

作: 泰行@卵かけご飯

<1>


キーンコン、カーンコン

終業のベルが鳴り、生徒が一斉に教室を後にする。

生徒 「じゃーね、はに子」
はに子「おう、また明日〜」

大半の生徒は部活へと足を運ぶ訳だが、
あたしは真っ直ぐ帰路へ向かう。

だって、だって・・・

はに子「ギターがあたしを待ってんだもん!」

心矢 「キモよ、お前」

はに子「あん!?」

心矢 「つーか、邪魔だよ。扉塞ぐな」

背後から威圧的な態度であたしを攻撃する心矢。

はに子「キモいとはなんだ!キモとは!?」

心矢 「うるせえよ。・・・ほら、帰んぞ」

はに子「うぐ・・・」

不覚。こいつと同じ電車に乗りたくなくて
ダッシュ一番を決め込むはずだったのに・・・。


<2>


ゴトンゴトン・・・ゴトンゴトン・・

線路の繋ぎ目を車輪が跨ぐ度、車内が軽く上下する。

生徒でごった返す路面電車はあたしの街の名物だ。
名物って言うと飾り物みたいだけど、
どこまで乗っても一律250円、
学割で100円の市営電車は
街の住人にとっても重要な交通手段だった。

はに子「さぞ、ご満悦でしょうね」

心矢 「ああ。お陰さまで」

はに子「ぐっ・・コノ・・ヤロ」

こいつは本当に負けず嫌いだ。

そりゃ確かに、あたしの届く吊り輪は全部埋まっていたけど、
あたしを見下したいがために偶然開いた席に
こうして、あたしを座らせたんだから。

なんつー、性格悪!

心矢 「ところでギターはどうだ?」

はに子「うぐっ」

そう。こいつの自宅兼仕事場・楽器店ストロボ・ギターズで
念願のギターを買ってかれこれ一週間が経つ。

心矢 「うぐっ。ってなんだよ」

はに子「だって・・。教本・・難しいし・・・」

心矢 「おいおい。俺が言ったこと無視して教本にすがったのかよ」

はに子「ふん!誰があんたの言ったことなんか」

心矢 「・・・ったく」


【心矢のギター・メモ!】

初心者向けに販売されるギターに必ずと言って良いほど
付属する教本を含めた通称・初心者セットだが、
正直、俺はオススメしない。

けして無駄とは言わないが、セット込みで+1万円の
価格上乗せなどは、結局抱き合わせ販売に過ぎないからだ。

それだったら必要最低限に抑え、以下の物を出せる範囲の金額で
購入することをおすすめする。

ギター本体に加え、

1、ピック・・・100円。初心者は取り合えず『おにぎり型』を購入。
2、シールド・・ギターとアンプを繋ぐコードの事だ。
        ピンきりだが、一般的は価格帯は3000円前後。
        多少高く感じるかもしれないが、
        かなり長い期間使用出来るので
        5000円出しても十分も基はとれる。
3、アンプシュミレーター
     ・・・オススメはZOOM社製、Gシリーズ。1万円未満。
        未経験者は誰もがエレキギターを鳴らせばCDで聴く
        ミュージシャンの音が出るものだと
        皆思っているようだが、
        ただアンプに繋いだだけはで弦の金属音がするだけ。

        エレキギターは音を電気信号として加工する事で
        CDのような迫力のある音を出音している。

        ZOOM・Gにギターを接続すれば手っ取り早く
        これを再現してくれるんだ。
        
        あとはZOOM・Gにヘッドフォンを繋いで
        出音するだけ。

以上、3点だ。ヘッドフォンは何でも構わない。
普段使っているものを流用すればいい。
しかも、ZOOM・Gはチューナー(調律機)を内臓している。
安く販売している店舗を見つけられたら1万円以内で
すべて揃えられるぞ。


はに子「ちょっと、アンプがないじゃない」

心矢 「俺はお前にアンプを売ったか?」

はに子「売ってない・・・」

心矢 「アンプシュミレーターで十分だ。
    上手くなってある程度の知識を得た後買えばいい」


<3>


はに子「けっ!いばってやんの・・・ん?」

あたし家の前に、郊外の風景には
到底似つかわしくないリムジンバスを見つける。

気にはなるけど・・・まあ、いっか。
怖いひと乗ってそうだし。

カランカラン。

はに子「ただまい〜」

扉を開くとカウベルの心地よい音がする。

ここは、アンティークショップ『EIN』。
あたしのお父さんがマエストロ(交響楽団指揮者)を
やめた後、趣味で開いたお店。

執事 「それでは、お嬢様のこと、何卒よそしくお願いいたします」

正治 「わかった」

店の中に入ると、ツバメ服を着たおじいさんが
客間のソファーから立ち上がった。

正治 「お。おかえり」

はに子「・・た、ただいま」

執事 「失礼致します」

はに子「ど・・ども」

ツバメ服のおじいさんはあたしに一礼すると
店内を去っていった。

はに子「お父さん、何?さっきの執事さんみたいな人」

正治 「見たまんまだ。よいしょ・・さて、コーヒーでも入れてくるか」

軽く肩を回しながら二階への階段を行く。

はに子「意味わかんない・・・」

???「・・もし・・・・」

はに子「うわぁ!」

突然背後から掛けられた声にあたしは飛び上がった。

???「・・コレ・・・何に?」

はに子「え?え?女の子???」

そこには、ワンピースに身を包んだ女の子が佇んでいた。
その声は小さく、その存在もどこか儚げだった。

???「これ・・」

女の子はあたしの前に手を差し出す。
その手には音に反応して、クネクネと体をよじる
ダンシングドールがあった。

はに子「えっと・・エルビス・・だけど」

???「えるびす・・・・」

はに子「えっとね、えっと、電池が入ってるの。
    音が聞こえると反応して動くのよ」

???「えるびす・・・そんな、オモチャがあるとは知らなかった・・」

はに子「おもちゃ名前がエルビスじゃないんだけど・・あはは」

ま、まあいっか。

女の子はダンシングドールを元の位置に戻すと、
再びごちゃごちゃした店の中へと消える。

正治 「なあ、はに子。クリープどこいった?」

階段の脇からお父さんの顔が覗く。

てか、お父さん!説明して!!!


<4>


正治 「昔の馴染みがしばらく置いてくれだと」

夕食を食べ終わる頃、ようやくお父さんが事のいきさつを、
新聞越しに説明し始めた。

正治 「こいつの両親、離婚で立て込んでてな・・・バラバラ
    しばらくごちゃごちゃしそうなんで・・・バラバラ
    ウチはほら、年の近いお前がいるだろ?・・・バラバラ」

はに子「離婚て・・・」

デリカシーとは大よそ無縁のお父さんは
柚ちゃんを前に平気で言う。

正治 「結構金持ちだからな、こいつの家」

離婚て一大事じゃない!
柚ちゃんだって、傷ついて・・。

柚  「ずずずず・・・・ふう」

はに子「ない!?」

柚  「?」

正治 「まあ、そんなわけだから、よろしく頼むわ」

はに子「ちょ!お父さんどこ行くの!?」

正治 「きまってんだろ。これだ・・・」

そう言って、お父さんは手首をクルクルと回した。


ああ・・・最悪です。お母さん。



<5>


夜の帳が下りて、あたしと柚ちゃんは二人で
ベットに入った。

はに子「・・柚ちゃん?」

柚  「?」

はに子「もしかして・・・その・・目が・・」

柚  「・・見えない・・・」

そう。柚ちゃんの目が見えていないことに
気づいたのは二人でお風呂に入ったときだった。

シャンプーが欲しいと言った柚ちゃんに
あたしは「そこよ」と答えた。

しかし、彼女はあたしが手渡しするまで
動けないでいたのだ。

柚  「平気・・・」

そうか。だから、離婚騒動で柚ちゃんをウチに・・・。

はに子「ごめんね・・・ずっと、普通にしてた・・・」

そこまで言って、あたしは言葉を呑んだ。

普通って言葉が禁句なんだって気づいたから。
あやまる事だって・・・駄目なんだ。

柚  「見えない・・・。でも、聞こえる」

はに子「え?」

柚  「いろんな音が聞こえる。
    ・・・静かな夜でも・・はに子の声や足音がする。
    だから、階段も平気・・・同じところ歩く・・・・」

はに子「・・・」

その時のあたしはどんな顔をしていたんだろ・・・。



<6>


心矢 「で?」

はに子「で?じゃないでしょっ!?」

学園の食堂で心矢を前にあたしは
怒り心頭だった。

心矢 「俺は親父さんのように振舞う方が正解だと思うけどな」

はに子「わ、わかってるわよ!でも・・・」

柚ちゃんを元気付けてあげたい。
笑顔になって欲しい。

シンガーだったお母さんが多くの人にそうしたように。

けど、今のあたしにはそんな力はない・・・。
しかも、柚ちゃんがウチにいるのは後三日だけ。

心矢 「・・・」

はに子「・・・」

こうして心矢に頼むしか、あたしには。

心矢 「・・・。
   
    ・・・。

    ・・・はぁ。分かった!わかったよ!協力してやる」

はに子「心矢!」

心矢 「ただし!!!」

はに子「うっ」

立ち上がった心矢はあたしを指差す。

心矢 「お前がやれ」

はに子「・・・え。

    えええええええ!!!!」


<7>


心矢 「ようするにだ。三日で覚えればいい訳だ」

はに子「・・・」

放課後の屋上。

ギターを抱えたままベンチに座るあたしの
前を心矢の奴が行ったり来たりしている。

はに子「無理にきまって・・・ブツブツ」

心矢 「なんだ?お前の気持ちはそんなもんかよ」

ムカッ!?

度台無理に決まってる。
無理だからわざわざ
昼ご飯までおごって頼んでんのに・・・!

心矢 「よくあるだろ?『最速!一週間ギター習得本!』
    ・・・とか」

はに子「三日しかないって言ってんでしょ!?」

あたしだって、端から無理だって決め付けなかった。
柚ちゃんと知り合った翌日、
本屋という本屋を巡って教本見て回ったんだから。

でも、どれもこれも全然意味わかんなくて・・・。

心矢 「だから教本に頼るなって言ったろ?
    お前のような『超』がつく初心者は理論なんて
    後回しでいいんだ」

はに子「なによそれ!?じゃあ何!?
    理論飛ばせば三日で出来るっての!?」

心矢 「ああ」

はに子「ほら、みなさい。えらそう・・・・。え」

心矢 「とっときの習得方があるぜ」




次回予告!!!

柚ちゃんにあたしの歌を届けたい!
でも、あと3日!どうしたらいいの!?

うろたえるだけのあたしに、心矢は
「3日で覚えればいい」なんて言う!

無茶言わないでよ!?


次回!ストロボ・スターズ!「笑顔のために」

ホントはわかってた・・・。一人にさせてるだけだって。













        
        

※この小説(ノベル)"ストロボ・スターズ!第二話「暗闇の中の少女」"の著作権は泰行@卵かけご飯さんに属します。

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この小説(ノベル)へのコメント (7件)

泰行@卵かけご飯

'11年3月22日 10:19

少しずつ雰囲気が固まってきました。

__

'11年3月22日 11:11

この小説(ノベル)を評価しました:おもしろい

うあああああ!!!続きだあ!!!
次回はボーカルテクニックも披露ですか!?!?!
楽しみなうwww

__

'11年3月23日 05:54

この小説(ノベル)を評価しました:おもしろい

ネ申マズ料理人さん
おはようございます!

会話が軽妙で今回も面白かったですよ。

泰行@卵かけご飯

'11年3月23日 06:43

とにかく、読みやすさ重視で書いています。

どうすれば短くなるのか。
その辺のノウハウはある程度理解しているつもりですが、
なにぶん小説を書くのはこれで2度目。

まだまだ引き出せていない感が否めません。

ネコキツネ

'11年3月24日 14:38

この小説(ノベル)を評価しました:おもしろい

読者1(?)だぜ!!
ストロボってなんだろな〜
こんどはおれがおしえてもらうばんだなwww

泰行@卵かけご飯

'11年3月24日 15:16

ストロボとは、暗所でカメラ撮影を
行なうさいの強力な発光装置です。

ようは、フラッシュ。

本気で解説すると長いのでw
要約すると、ストロボリサーチ社という会社が出していた
フラッシュ装置のことです。ようするに登録商標です。

けど、それも随分前の話で、今では
バンドの名前や映画のタイトルなど一般化していますので、
現在使用することに支障はありませんw

「ストロボ・スターズ」は「瞬く星々」的な意味合いです。
青春も音楽もその一瞬の閃光こそが大事だと思います。

ゐよさん

'11年3月26日 20:45

この小説(ノベル)を評価しました:おもしろい

第二話読まさせていただきました~

柚ちゃんっ かわいいです><*
続きがきになっちゃいますね~
ギターわからないのではに子と一緒に教えられてる感じがします!
おもしろかったです^^

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