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心の傷は見えないしイエナイ。 (完結作品)

作: 日々子

一目惚れ、ってほどでもないけど、
俺と玲奈は会って割とすぐに意気投合した。

2回目のデート。
付き合おうと切り出したのは俺の方だった。

あれから、二ヶ月近くが経ったのか。


「今日はあの店行こうぜ!」

ぐいと腕を引っ張って歩き出す俺。


「お前、トロくせーなぁ」

ちょっとの段差でいちいち躓くのを嘲笑った俺。


強引かな横暴かなとも思うんだけどよ、
玲奈だって俺がそういうやつだってわかってたはずだし、

「もう、デリカシーないんだから…」

って言ってたくらいだからさほど気にしなかった。


笑顔を陰らせた、少し寡黙になった、そんな意味なんて考えず。



そんな俺でも一度だけ、やらかした、と思ったことがあったんだ。



でも、いつどの言動が原因だったかわからない。
ただなんか元気ないなとは俺でも気付いた。
いや、俺でも気付くくらいだから相当だったのかもしれない。

トイレに行ったっきりなかなか戻ってこないと思いきや、
やっと現れた玲奈の瞳はほのかに赤く濡れていた。


「もしかして、泣いてた?」

「ううんコンタクトがズレちゃっただけ」


なんて、わかりやすい嘘までついて。


待ち合わせに10分遅れたこと?
また勝手に行き先決めたこと?
改札閉じたの笑ったこと?

もしかして記念日だった?
髪切った?
新しい服だった?

心当たりが多すぎてわからない。
それとも、積み重ねだったのだろうか。


さすがにかわいそうなことをしたと思って、
帰り際ぎゅっと抱きしめた。

「なぁに突然」とか言いながらとても嬉しそうで、
やっぱ笑顔でいてほしいから、もう傷つけるようなことはしないと心に誓った。


だけど、性格や性分なんてそう簡単には変えられなくて。


事件から2週間。
なるべく優しくしようと思っても悪態は口をついて出るし。
それでも玲奈は隣で笑ってたから、油断したといえばそうかもしれない。


そして迎えた、昨日のデート。

いつも通り一日を過ごし…たつもりだった。


「……玲奈?」


振り返ると、立ち止まったままの玲奈。
顔を上げようとしない。


「どうしたんだよ…」

「離して!」


初めて、
玲奈に腕を振り払われた。


「もう、限界」


目からは大粒の涙が流れていた。


「私のことなんだと思ってるの…?」


俺は、何も言えない。
何と言っていいかわからない。


「もう無理。一緒にいられない」

「玲奈!」


それだけ残して、玲奈は走り去った。
人混みに紛れ、そのまま見つけることができなかった。


玲奈――…。


連絡がつかない。
姿を見ることもできない。

一緒にいたのは2ヶ月程度、離れたのはたったの1日なのに、
お前がいなくなった今こんなにも世界が色褪せるなんて。



これほどにまで、傷つけていた。
本当は、傷つきながらも健気に笑っていたとは知らず。


玲奈。
もう一度だけでも、振り向いてくれないか?

俺は相変わらず強引で横暴でデリカシーのないやつかもしれないけど、
お前の笑顔だけは、何があっても守ると約束する。



これが、最後の電話。


もしも答えてくれたそのときは、
俺はお前を二度と傷つけない。
大切にすると誓うから。



出てくれなかったら…
いつかまた巡り合うであろうその人を大切にすることで、
お前への愛の証明にするよ。



付き合いたての頃、帰りの電車の中から手を振ったお前の姿が何故だか目に浮かぶ。

大好きな気持ちは、あの頃のままなんら変わりはないのに。
何故大切に出来なかったか、思うだけで行動に移せなかった自分を恨む。



コール音を何回聞けば、俺は答えが見えるだろう?

深呼吸をして、ダイヤルボタンを押した。



 ---



Dedicated to...my handy, SH-07B.
まだ買って2ヶ月なのにそりゃねぇよ\(^o^)/

みんな、携帯は精密機器だよ!大切に扱おうね☆(笑)

※この小説(ノベル)"心の傷は見えないしイエナイ。"の著作権は日々子さんに属します。

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この小説(ノベル)へのコメント (2件)

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'10年7月21日 19:52

この小説(ノベル)を評価しました:共感

結構サクサクと読むことができました。

わかりますねー、こういうの。
私の経験からすれば、結局は……いや、ヤメときます。
「恋人は大切に扱おうね☆」というお話だと見ました(笑)。

日々子

'10年7月21日 21:28

>藤原さん

初めまして、コメントありがとうございます。
読んで頂けてとても嬉しいです。

私の経験からしても、結局は……いや、やめておきましょう(笑)

買って2ヶ月の携帯を既に壊してしまったことを反省して書きました。
でも、「携帯電話の扱い方は、その人の異性の扱い方と同じ」
という記事を見たことがあったので、置き換えて小説にしてみた次第です。
何事も、大切にですね。(笑)

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