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オムレット (完結作品)

作: utaco

 
 
 
彼がわたしのために焼いたちいさなオムレットは、
お砂糖とミルクが入っていて甘かった。
まるで彼の 甘くてどこか異国のお菓子みたいな
彼の、肌のような味がした。
 
「甘い」
「うん、砂糖と胡椒を少しずついれたんだ」
 
実際 ミルクは入っていなかった。
 
胡椒は彼の睫毛を瞬く間にわたしの頭に描かせた。
小さなお人形の為のちいさなちいさな黒いレースのドレスみたいな睫毛。
でも彼の睫毛は眺めたことしかないから、分からなかった。
 
「おいしい」
 
 
オムレットの隣には丸くてピンクのハムが二枚。
 
「これくらいなら、食べれるでしょう」
「うん、食べれる」
 
 
そういえば 幼いころ母親の焼いていた卵も
甘かったことがあったな、と 昔のことを思い出した。
弟は甘い卵が好きで、わたしはいつもお塩の卵だったから、
切れ端をもらったときとてもびっくりしたのを覚えてる。
 
母親にわざわざ甘い卵を焼かせる弟に少し嫉妬した。 
 
 
切れ端を貰った時は別段おいしいとは感じなかった甘い卵と
彼がわたしのために焼いてくれた甘いオムレット は
同じ甘さだったけど、全然違うな と思った。
 
 
 
「おいしい」
もう一度言うと、
ふふ、と彼は笑って「よかった」と言った。

ふわふわと寝ぼけた頭でマ グカップに注いだミルクをすすりながら、
これから ほんの少し甘いオムレットを 彼が作ってくれる度に、
それがミルフィーユみたいに何枚も何枚も頭の中で重なっていって
甘くて幸せな記憶のかたまりを、作ってくれるであろうことを想った。
 
 
 
彼がわたしのために焼いてくれたオムレットやハムが、
ミルクと一緒にじわりじわりと胃袋の中で溶けていって、
わたしはなんだかまた寝てしまいそうだった。
 
 
 
 
 

※この小説(ノベル)"オムレット"の著作権はutacoさんに属します。

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