- 2011/11/22
- [お知らせ]
ランキングデータの調整について
- 2011/9/30
- [お知らせ]
[追記]みんなの詩のランキング不具合について
- 2011/7/26
- [お知らせ]
メッセージ下書き後送信の不具合について
- 2011/1/11
- [お知らせ]
メンテナンス延期のお知らせ
- 2011/1/6
- [お知らせ]
得体の知れない不安ほど嫌なものはない。では、不安の正体がはっきり決まってしまったら?それでも菜々の不安は途切れることはなかった。
水城冬海が、あの時感じた気配と同じだと確信したものの、冬海の正体は相変わらず得体がしれないままだったからだ。あの凍りつくような気配。彼が犯人に間違いないと感じながらも、普通の人間にあんな猟奇的な所業ができるはずがないと理性が否定する。
存在を感じ取っただけで、体中を流れる全ての血が、チクチクと危険信号を送ってくるような不安。体は震え、意識は朦朧とする。
そしてその根元は、数日にして学園の人気者に成り上がっていた。
冬海の外見だけでも、隆也の調子のよさだけでもそうはならなかったろうとは理沙子の診断である。二人の相乗効果で、主に女生徒の多大なる指示を獲得していた。
きっぱりミーハーの部類に入る亜弥は、その最たるものであった。
「きゃあん、菜々ちゃん待ってて得しちゃったぁ」
菜々に駆け寄りながら、ちらちら後ろを振り返る。残念ながら体育館から彼等が出てくる様子はない。
「亜弥ちゃん達、待ってたの?」
「帰ろうっかなぁーって思ったら、校門の所で水城くん達に会ったから待ってたの」
「それって、僕達じゃなくて、あいつらを待ってたってことじゃないの?」
「うーんとね、細かいことを気にしてはいけないのー」
にっこり笑う。
「亜弥ったらものすごい力で人のこと引っ張るのよ」
理沙子は肩をすくめた。
「だってそうしないと理沙子ちゃん帰っちゃうんだもん」
「あたしはバイトがあるの!でもあれはマジで怖かったわ、遠目で見ているだけでも鳥肌立ったもん」
「水城冬海くんは、鳥肌モノの美形ですー」
「そうじゃなくて菜々よ。
体中から『あんたなんか嫌いよっ』ってオーラがびしばし出ていたもの。千堂くんなんか完全に怯んでいたじゃない」
そうして菜々の顔をのぞき込む。
「転校生と何かあった?」
何も言えなかった。いや、なんと言っていいか分からなかった。あの夜感じた気配が、水城冬海と同じだと言ってどうなるだろう。
何も言わずに俯く菜々の肩を、理沙子はぽんぽんと叩く。
「こんな時に神経質になっても良いことないって。まずはよーく寝ること、顔色悪いよ」
「理沙子…」
菜々はしがみつくように理沙子に抱きついていた。
「何が怖いの?」
訊ねる理沙子に、ただ首を横に振る。分からなかった、何がこんなに怖いのか。ただ、水城冬海の存在が菜々に何かを予感させる。冷たい黒水晶の瞳に見つめられるだけで、菜々の生活の根底が崩れてしまいそうな予感と不安に包まれる。
理沙子はあやすようにその背を叩いた。
「説明できるようになったら電話してくれる?あたし、これからバイトなの」
と微笑んだ。それから後ろに立つ大樹に視線を移し、
「ダイダイくん送ってやってくれる?」
当然と大樹は頷いた。
「ありがと」
一緒に笑えとばかりに大げさにニッと笑い、片手を降る。
「じゃ、行くね」
「理沙子ちゃんまた明日ねー」
亜弥も手を振った。
「何かあったら連絡してよ!」
理沙子は携帯を握った手を振りながら走っていった。姿はすぐに建物の影に消えた。
「菜々ちゃん、帰ろ」
『匂う…』
「え?」
『匂う……血の…“力”のある“血”の匂いだ………』
周りを見渡しても、声の主らしき姿はない。
腕を組もうとして掌が腕に触れ、ザラリとした感触に改めて自分の腕を見る。腕は鳥肌でボコボコになっていた。その腕が、菜々にあの夜を思い出させる。
「何で……」
さわさわと音を立てる街路樹。菜々に呼びかける大樹の声も耳には届かず、菜々は新たに襲い来る激しい不安に、予感めいた不安につぶされそうだった。
※この小説(ノベル)"彩姫封魔伝(さいひめふうまでん)"の著作権は第1回みんなのライトノベルコンテスト作品さんに属します。
| この小説(ノベル)のURL: | |
|---|---|
| この小説(ノベル)のリンクタグ: |
※ここでは2012年5月18日のデイリー表示回数ランキングを表示しています。