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進級した春、私は繁華街の楽器屋に張り出されていたボーカル募集のバンドに連絡を取った。そこで初めてディルアングレイやコーンのようなバンドが世界中に存在することを知った。
運よくボーカル採用が決まり、何回目かのスタジオ練習にて私は初めて他人に自らのデスボイスを披露した。思いのほか好評価をうけた。
はじめてのライブが決まり、バンドの曲が始まる瞬間、私は人生の中で一番の幸福の中にいた。
私はその時まで、私自身の苦しみによって他人を殴り、私と同じだけの痛みに涙を流してほしいといつも思っていたからだ。
私の一挙手一投足すべての発音が他人を殴る武器となるこの数センチだけ床より高い壇上は、他者に身の上を語りあげる勇気もなく、おぞましい性器から逃げようともがく私にとっての、救いだった。
そして夏、同級生と結成したコピーオンリーバンドの発表学芸会のとき、私は友人を引き連れ見物にきた$と再会した。
$と別れたにも関わらず、進級した春私は$との交信を再開した。
どこから見つけたのかわからないが、私の電脳居住区に$からの書き込みがあったのだ。そこには$の近況と「ボーカルが抜けた」という旨の文が書かれていた。
私は$のバンドに、今度はボーカルとして加入した。私が知っていた者はすでに一人もいなかった。
まもなく私はまた$を自宅に招き入れセックスをしていた。
$の書き込み文面から、昔の$のような恐怖を感じなかったからだ。$はやはり以前よりも穏やかに私に接した。
しかし数週間もたたないうちに、私は$が以前と全く成長していないことに気付いた。
乖離こそしなかったが、やはり私は相応に自らの体に創傷した。
私はもはや$のことがどうでもよくなり、近隣に住む私より格段に頭の良い高校に通うベーシストを家に招くようになった。
ベーシストは私の$についての相談をよくきいた。私は相談をしたり共に勉強するうち、$よりベーシストの方に好意を寄せていった。
ある日私はベーシストに自身の感情を吐露し、キスをせがみ、まだ何も知らない彼の口内に舌をねじ入れた。
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正直、作者様にとっては上ので十分なのではないかと、今でも思ってます。
が、やっぱりあまりにえらそう(笑)なので、遅くなった上に蛇足ではありますが、ちゃんとした感想も書いておきます。
こういった話は、得てしてひどく感傷的だったり、偽悪的だったり、虚勢や根拠のない自信に満ち溢れていたりしがちなものですが、この作品にはそういった類の感情の押し付けが一切感じられませんでした。
熱を帯びたまま冷めた視線で、ただ淡々と回想が語られるのみです。
だからこそ読者視点と作者視点が効果的に重なり、臭いすら感じさせるほどの追体験を得ることができます。
それなのに作品世界に捕らえようとする力はなく、最後にはもう話は終わったとでも言わんばかりに一方的に追い出されてしまいます。
そこで自分の世界に戻ってきてはっと画面を見返した時、感じることは人それぞれ。
自分の今の境遇、過去と照らし合わせて、同じだと思った人は自分は一人じゃないと勇気付けられることでしょう。
幸せな話だと思った人は自分の半生を嘆くかもしれないし、不幸だと思った人は今日と明日を生きる活力を得るかもしれない。
そんな読み手の心を写す鏡――今必要としている全てがあり、実質何もない話なのだと思います。
そして私の場合、はじめ読み終えた時、この話をとても綺麗だと感じました。
人間がなのか、その生き方がなのか、完成したお話としてなのかわかりませんが、前述の理屈からすると。無意識的にでも今の自分がどこか汚れてしまったと感じているのかもしれません。
もしこれを狙って書いたのなら相当すごい力量だと思いますが、どうなのでしょう。
本当にそうだったら立ち直れなくなりそうなので偶然だと思い込んでおきますが(笑。
この辺が汚れてるといえるのかもしれませんけど(笑。
あと、誰にでもおすすめできますが、やっぱり悩み多き若人にこそ読んでみてほしいとは思いました。
しかし、惜しむらくは年齢制限があること(笑。
非常に良いものを読ませていただきました。
ありがとうございました。
このコメントを東京から帰る新幹線で読んでいて、思わず泣いてしまいました笑
とても温かな批評をありがとうございます。
年齢制限は、まあネットの18禁なんてあってないようなもんですしね!笑
何を狙って書いたかは秘密です笑
いやはや、評価だけではなくこれほどに長文の批評をいただけたことたいへんうれしく思います。正直もっと批判的な批評がくることを予想していたので、想定外の喜びでした。
わざわざ批評書いてくださり、本当にありがとうございました。
※ここでは2018年5月17日のデイリー表示回数ランキングを表示しています。※同順位者が多すぎる場合はすべてを表示しきれない場合があります。