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「金だよ。金。」
文夫の答えは誰もが考え付く答え、金で女を手に入れる、だった。
だが俺はこの2年間そんなところ一切見ていない。
「嘘つくんじゃねぇよ。お前女に金払ってるところ見たことねぇよ。」
「嘘じゃねぇよ。つか女に払うんじゃねぇよ。」
女に払うわけじゃない。なら誰に払うというのだろうか。
俺は半信半疑で文夫がモテる理由を聞いていた。
「いいか?よく聞けよ。とりあえず俺がこの方と初めて会った理由は絶対に喋れないからそこは飛ばすぞ。まずはこの方と連絡を取るんだ。そうすると集合場所を指定される。んでそこにこの方がおられるから、この方に『出会い』を買うんだ。」
「ちょっと待て!『出会い』を買う?」
「そう。この方はそれを『ミート』と呼んでいる。」
「んでその『ミート』っていくらくらいするものなの?」
「まぁ話は最後まで聞け。ミートはそこまで高くない。実際出会う機会なんていくらだって作れる訳だしな。…でも大事なのはココからだ。この方はこちらの要望に必ず答えてくれる、だが逆に言うと要望しか答えてくれないんだ。」
「は?何言ってるかさっぱりだけど。」
「それ以上もそれ以下も望めないってこと。」
よくわかんねぇけど、結局の話素敵な女に出会わせてくれる性質の悪い出会い系って訳か。
「まぁ今から言う携帯番号を覚えな。いいか!絶対メモはするなよ!かけたらすぐリダイヤル消去しろよ。」
どうしてここまで文夫は「あの方」って奴を慕っているんだろうか…
話を聞く限りじゃ間違いなくただの出会い系の会社としか思えないんだけどな。
090の…俺は一度携帯の番号を言われただけで覚えていられる。
記憶の中でも、俺は数字の記憶だけは誰にも負けない。
「いいな?絶対俺から聞いたとか、俺のことは一切出すなよ!」
「わかったよ。」
俺はそのまま文夫の家を出て駐車場の壁に持たれかかりながら「あの方」に電話をしてみた。別に出会いが欲しいわけじゃないが、ただ、文夫がモテる答えが知りたかった。
「あ、もしもし?注文をお願いしたいんですけど!」
「…誰かな?」
「身長は155センチくらいで、体重は42キロくらいかな、後は小顔で綺麗な髪の毛でボインな子!性格は何でもいいんで、一度でいいから「長澤まさみ」に似てるって言われたことのある女性。声は高めで!まぁこの条件に合った子を5人注文で!」
「…」
一度ふざけてみる。大抵こういう時性質の悪い出会い系サイトは大声で怒鳴りつけるか、黙って切るのどちらかだ。文夫のことだし俺がモテることを嫌うはず。だからこそこんなでたらめな出会い系に電話させて俺を騙そうとしている。
もしもそうじゃければ、よっぽど俺がホモだということが怖かったか、になる。
「お前は今どこにいる?」
「東京の杉並区ですけど?」
「では吉祥寺の駅を右に曲がってずっと歩いていったところの『カラたん』というカラオケ店の508室に2時間後集合としよう。」
「え、お金は?」
「プツッ…プープー…」
文夫の言っていたことに間違いはなかった。場所を指定された。ということは、俺は出会いを買ったのか?まさか…そんなはずはない。2時間なんて短時間で女の子を5人も連れてくることなんてできるはずがない…
冗談じゃない…でも…もしもそれができたのなら、文夫がモテる理由に大きく関係してくるに違いない。行くべきか行かないべきか…
とにかく今から吉祥寺まで1時間以上はかかる。考えている時間はない。
向かいながら考えるしかない。
「おい!ポーカー。電話したのか?」
「あぁ。したよ。」
「急げ。あの方は30秒しか待ってくれない。」
「マジかよ!」
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