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駅前までの道を歩きながら、わたしは横に並んで歩いている深森先輩の顔をちらりと盗み見た。
……考えてみるとこんなふうに二人きりで歩くって、まるでデートみたい。
そんなことを不謹慎にも感じた自分を、少し恥じる。
数日前、深森先輩に尋ねたのだ。
「以前、深森先輩のおとうさんの事務所でアルバイトするという話、してたと思うんですけど。本当に夏休みに雇ってもらえますか」
深森先輩は少し驚いた顔をしたあと、穏やかに微笑んだ。
「わかった。それじゃ母に尋ねてみるから」
少し疲れ気味の表情をしている先輩に対して、後ろめたさを感じた。深森先輩の役に立ちたいという気持ちはもちろんあったけれど、それならば無償で手伝ってもよかったはずだった。
アルバイトとして話を持ちかけたのは、自分の力でお金を稼げないかなと思ったせいだ。
やはり鴇田くんのことが気にかかっていたから。
お金があれば、きっと鴇田くんの脚はよくなる。リハビリに通うためのお金が必要だ。鴇田くんの家族はあてにならない。わたしがなんとかしないと。
そんな強迫観念的な感情にずっと捕われていた。
お金のことは、本当は弁護士さんに頼めばなんとかなるはずだった。
月々わたしは桜本の家からお小遣いをもらっていた。ただその金額は今までとさほど変わらない最低限必要な額でいいと、わたしの方から申し出た額だ。
その金額を少し変更すればいいだけの話なのだ。臨時の出費があるときには弁護士さんに相談していいことにもなっていたのだし。
けれど、桜本の家にお金を出してもらうのは筋が違うような気がしていた。
自分の家がそれなりに裕福であることをひけらかして、鴇田くんに恩を売るような形になるのが嫌だった。
少なくとも、鴇田くんはわたしが誠意を見せないと心を開いてくれないような気がする。
傷つけた鴇田くんに対して、未だにうまく謝ることができないから。だからわたし自身が鴇田くんのためにできることを考えなくてはいけないと思った。
「今日、採用するかどうかの面接をすることになったから。来れる?」
※この小説(ノベル)"夏の停止線"の著作権は第1回みんなのライトノベルコンテスト作品さんに属します。
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