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俳優。歌手。芸人。ボクサー。医者。スポーツ選手。イケメン。草食男子。肉食男子。
この世に現れるいい男なんて山ほどいる。
ただそうでもないと言われる男はその10倍はいると考えられる。
サラリーマン。土木。フリーター。ブサイク。デブ。ハゲ。チビ。キモメン。
こんな奴らでもその不幸をバネに自分を主張し、女性にモテようとする。それに騙される女性も数知れない。
何が格好良くて何が格好悪いか、善か悪か。それを男が探し、女が見つける。それがこの世の恋愛というものだと言う。
いや、それが恋愛だと呼ばれているだけだ。
だったら本当の愛とは一体なんだ?
一人の為に自らを犠牲にして守るモノ?そんな単純なモノなのだろうか?
結局のところ男っていうのは、女に惚れられるために生きてる動物に過ぎない。
俺だってそう。
小学校の頃、女の子にモテる為にスポーツを始めた。
スポーツの中では何が一番モテるのだろうか。そればかり考えていた。
まず大抵の小学生の女の子は3つの種目に分かれる。
サッカーに野球にバスケ。言ってしまえば、
外で華麗に格好良く動くスポーツと、泥臭くなりながら男らしく行うスポーツと、室内での綺麗な汗をかきながら行うスポーツ。
実際にこの頃にやっていたスポーツによって後々大人になって男の顔は作られていく。
ということはこの3つのスポーツをやっていない小学生は女の子にモテないのか?
いやそうじゃない。簡単に女の子の前で格好をつければいい。
体育の授業や休み時間。ドッジボールや給食、何だっていい。とにかく目立つ奴はモテる。それが小学生のルールでもある。
中学生に入ると全ては一転する。
何もしない奴がモテる。真剣に行う奴はダサいと言われ始める。
要するに部活でいうならば帰宅部といったところだろう。
この頃から女性らしさを序所につけてきているからなのかもしれないが、
一般的な格好いい姿を見るのではなく、自分に対する優しさや、自分が格好いいと思うものを覚え始めるのである。
そこでとる男の行動は、『反抗期』というものである。何も従わず、何も善悪を見ようとしなくなる。『俺流』を極めようとするって訳だ。それを極めた奴がナンバー1だと、勝手に思い込んで生活し始めるのだ。
そして中学を卒業すると、これまた一転。全ての者に可能性が出始める。
スポーツや勉強、不良に真面目っ子など、個性が溢れる男がモテるようになる。
小学生の頃と違うことといえば、『思春期』に入ったということであろう。
もう女の子の考え方は大人と変わらないといってもいいだろう。
自分を守ってくれる男性。一緒にいても飽きない男性。言わば『おもしろくて優しい男』がモテるのである。
それを感じる男はクールを気取ることをやめ、積極的に声をかけたり、女性を気遣い始める。まぁ今の社会人も変わらないだろう。
現、日本はこのようにして恋愛を育み、そして子孫を残している。これが現実である。
だがこの現実に流されながら生きている俺はいつもどこか疑問を感じることがある。
それが何かは分からないが、ただ俺は、5点の男には5点の女性が。100点の男には100点の女性が。そのようにしっかりとできたカップルが現在できていないと感じている。
それはまさに今。
「お!ポーカーじゃねぇか!彼女はできたか?」
太田文夫(オオタフミオ)。
顔、性格、職種、言葉遣い、オーラ。
全てを持って点数をつけるとするならば、四捨五入をして1点。
だが、この男の隣には、毎日のように違う女性がいる。
しかもその女性の顔、スタイル、オーラはまさに、四捨五入して80点。
「はじめまして。フミオちゃんの友達ですか?私はフミオちゃんの三番目の彼女です。」
三番目の彼女か。文夫の彼女にしては上位にランク付けされている女性か。
「じゃあポーカー来たからお前は帰れ。」
文夫は何かと俺にいつも絡んでくる。とくに学生時代仲が良かった訳ではないが、
家も唯一近かった男だったからか、最近じゃ暇さえあれば文夫の家に遊びに来ている。
それから笑うわけでもなく、怒るわけでもなく、ただいつもこいつの自慢話を聞きにきているうちに、文夫は俺のことを『ポーカーフェイス』から、『ポーカー』と呼び出した。
「なんだか今日はやけに眠そうだな。」
「別に。そんなことねぇよ。」
何千回と文夫の顔を見ても、どの角度から見ても、こいつはブサイクの極みだ。
だが何故…この男の魅力を女は感じることができる…。
「ポーカーにとって女って何だ?」
俺がココに来ると必ず聞いてくる文夫の質問のうちの一つ。
「わかんねぇ。でもいないと男としての魅力が落ちていくのは間違いねぇ。」
「それならどうして女を作らない?」
これも文夫のお約束の質問。
そして俺もお約束の答えを文夫に返す。
「100点の俺に合う100点の女性がいねぇ。」
俺は学生時代から何度もいろんな女性に告白をされてきたが、一度だってOKを出したことはない。
俺にとって『妥協』という言葉が一番大嫌いだから。
「よし。いつもどおりだな。じゃあ俺に何か質問はないか?何でも答えてやるよ。」
俺に質問はないかと問う。これがこいつの最後の質問。
「お前は何でそんなに女がいるんだ?」
「それは教えられない。」
はい、会話終了。
『黒田純』
これが俺の本当の名前。学生時代は親父の苗字だったから「稲葉純」が俺の名前だった。
だが今は両親が離婚をして、文夫の家の近くに引っ越してからは友達もいなくて、毎日パチンコ、競馬、文夫の家を行ったり来たりしている。
言ってしまえばくだらねぇ。くだらな過ぎる俺の人生。仕事もしねぇし、女も作らねぇ。クソ人生まっしぐらだ。もしも人に自慢ができるものがあるとするのなら、並外れた記憶力。それだけだ。
それに比べてこの文夫という男は俺とは全く違う道を歩んでる。
今は俺と同じフリーターだが、もうすでに親が経営しているビルの経営者を継ぐ話まできているほどのエリートになろうとしている。こいつには顔、性格、職種、言葉遣い、オーラ全てダメだが金だけはあった。
だが大抵な奴は金のおかげで文夫はこんなに女がいる。と、思いがちだが、実際はそうじゃない。
ほとんどの文夫の彼女を見たことがあるが、一度だって女に金を使った所を見たことがない。だからこそ、俺は疑問が生まれたんだ。どうしてこいつがモテるのかと。
正直その謎を解明したくてこいつの家に来ているのかもしれない。
「やっぱポーカーといると暇だな。女でも呼ぶか?」
「いいよ。呼ばなくて。」
「あっそ。」
さっき自分で帰したくせに何かと女を呼ぼうとする。
「なぁポーカーよぉ…お前はどうして女を作らないんだ?お前ってすげぇモテそうな顔してるし、オーラだってあるぜ?何でだ?」
「別に。ただ100点の俺に…」
「それはいいんだよ!」
初めて文夫が怒鳴った。
「な、へ、変なこと聞いていいか?」
ほとんどこの変な事は予想できた。だけど、一応聞いてみることにした。
「何?」
「お前…まさか、男が好きなんじゃねぇよな?」
ビンゴ。
「…そうだよ。悪いか?」
俺は別に彼女を作らない細かい理由とかなくて、ただ本当に感情が高ぶったことがなかったから彼女を作らなかったのだが、ここでそれを文夫に話すことが面倒で、嘘をついた。
「マジかよ…。てことはお前…毎日俺の家に来ているのは…あれか?」
「あぁ。お前が俺にとっての100点の相手だ。」
イスから飛び降りた文夫は、決して俺に背中を向けないように俺から距離をとる。
俺はこの家に来て初めて笑いそうになった。
「おちつけポーカー。何でもお前の言うとおりにする。だから俺を性の対象にだけは見ないでくれ。」
「わかった。じゃあ一つだけ俺に教えてくれ。」
ホモのフリをしたのは大正解だった。
この文夫の恐れ方は半端じゃない。今なら教えてくれるかもしれない。
「どうしてお前はそんなにいっぱい彼女がいる?」
「…モテるから。」
「答えになってねぇ!どうしてお前みたいに金しかねぇ男がモテるのかって聞いてんだよ!」
「…」
もうココに通って2年になる。
その答えが今この瞬間に叶おうとしている。
というか、こんなに簡単だったらもっと早くホモになりきれば良かった。
「それを言ったら…俺を狙わない?」
当たり前だろ。お前のことは好きじゃない。どっちかというと嫌い。
「俺に…触らない?」
おい、どれだけおびえているんだ?一度だって俺はお前に触れたことはない。
「俺のケツに…」
「もういい!ぜってぇしないから話せ!」
「…わかった。」
俳優。歌手。芸人。ボクサー。医者。スポーツ選手。イケメン。草食男子。肉食男子。
サラリーマン。土木。フリーター。ブサイク。デブ。ハゲ。チビ。キモメン。
彼らは自分を主張し、女性にモテようとする。それに騙される女性も数知れない。
今日から俺はある特別な職種に就く者の存在を知ることになる。
精神科医?カウンセラー?占い師?科学者?探偵?詐欺師?いや違う。
この世でたった一つ。彼にしかできない職種。
Love Planner。
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