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学園祭当日になった。
門に華やかなアーチが造られている。校舎までの道が造花やふうせんで飾られ、立て看板やノボリも派手に乱立している。
いくつかテントも設置され、焼きそばやクレープの匂いが充満していた。
他校の生徒たちや近隣の住人も学園内を右往左往していてにぎやかだ。
わたしは一時から、2時間の受付当番になっている。午前中は自由行動をして、早めの昼食を終えてから、美術室に行った。
それまで受付だった茜ちゃんと交代だ。
茜ちゃんは今まで部活をサボっていた分、みんなが避けたがるお昼時の受付を申し出ていた。
こういう気が利く部分があるから、幽霊部員だろうと茜ちゃんはほかの部員たちと仲良くやれるのだと思う。
茜ちゃんが引き継ぎのメモをわたしに見せる。
「アンケート用紙はこの箱にそのまま置いてもらう形に変更になったんだって」
「やっぱり。ポストの口が小さすぎたんでしょ」
「そうだよねえ。それで、アンケートに答えてくれた人には、しおり、一枚ずつね」
「二枚あげるんじゃなかった?」
「なんか、枚数が足りなくなりそうだからだって」
「うん、わかった」
束になったアンケート用紙をぱらぱらめくってみる。
「けっこう集まったみたいだね」
「そうだね。まあ、アンケートまで書いてくれるのは、ほとんどが部員の家族や友だちだろうけど」
「それでもこういう感想が来るって、いいよね」
去年のアンケートで、わたしの絵のことを「色使いがきれいで、立体感があって印象的だ」と書いてくれた人がいて、ものすごく嬉しかったことを思い出す。
……あれ。その感想をくれたのは、深森先輩のはずだ。やだな、わたし、なんか混乱して覚えてるみたい。
まあ、いいけど。
わたしは受付用エプロンを受け取って、身に着ける。
入口の受付名簿には数十名の名前が既に記入されていた。
迷路状態に展示ボードが立ちふさがっているせいで、受付からは美術室内全部は見渡せない。
学園の制服に混じって、私服の若い子たちが数名いたけれど、それがこの学園の卒業生なのか、他校の生徒なのかは簡単に判断できなかった。
……鴇田くん、見に来てくれないのかな。
名簿には名前がない。もちろん、名前を書かずに入室する人もいるから、確実なことはわからないのだけれど。
どこかがっかりしている自分に驚いた。
「どうだい、人、入ってる?」
深森先輩が突然入口に姿を見せた。
「あ……深森先輩」
※この小説(ノベル)"夏の停止線"の著作権は第1回みんなのライトノベルコンテスト作品さんに属します。
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