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張遼はかつて自分がいた宮殿の前に立って眼を閉じた。脳裏に阿鼻叫喚の絵図が浮かぶ。呂布が董卓を刺し殺す画面。呂布が董卓に施した数々の拷問。その時の自分は語れないほどけがれ切っていた。自分の耳の中には民が募らせた董卓に対する不平不満が思いだされる。あの時の宮殿は宮殿らしくもない姿を見せていた。まるで夢にうなされるように冷や汗が流れ出るのを感じた。
――かつて董卓はわが主君だった。しかしあの酒池肉林は果たされなくてよかったと思える。あれが果たされていたならこの国は一瞬にして滅んでしまう。
そんな張遼を心配そうにして見つめる者がいた。自分の傍には何人かいるらしく、ある者は泣き、ある者は自分の肩を叩いて名を呼んでいる。女の声が必死に自分の魂を呼びとめている。
「……殿?…遼殿…?しっかりなさって!張遼殿!!」
――ハッ!感じる…聞こえる…
「おい!ここはどこなのだ…ここはどこなのだ一体…」
急に起き上がったので目の前にいた女が驚いている。
「私は生きているか?私はここで一体…」
女に状況を聞くところ、張遼は宮殿の前で急に倒れて意識を失ってしまい、傍にある家に運ばれたのだという。
「まさか王琴なのか?」
「はい。」
張遼は彼女の手をがっちり握った。
「かなりうなされていましたね。」
今度は楽進とか名乗る男が話しかけた。
――思い出した、私は宮殿の前で目をつむって意識を失い、それ以来長い夢を見ていたのだ。
「楽進!王琴!!董卓は生き返ったのか?董卓が来る…」
「張遼殿落ち着いてください!それはあなたの夢です。貴方が見ていた夢ですよ!!董卓は生き返っていません。私たちは董卓の荒らされた墓を掃除しに行っただけなのです。子供たちにも注意してきましたからこれ以降彼の墓は汚されることはないです。」
一生懸命慰める王琴。張遼は慌てすぎた自分を恥じて彼女の懐で泣きだした。この男の泣き虫は小さいころから変わっていない。相変わらずの泣き虫がこうして皆を笑わせ、楽しませるのだろう。これは張遼のほほえましい性格と言えよう。
※この小説(ノベル)"遼来来!!"の著作権は日本の張遼さんに属します。
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