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「張遼様が…去って…しまった、な。どうする王琴。」
夏侯惇は少々笑って残念そうに、王遼にはなしかけた。
「馬鹿!私は王遼だ!」
――何だろう、この不穏な雰囲気…。
まだ王琴こと王遼は、その言葉に隠された意味を知らずにいた。曹操に似て人妻好きの惇がにやけた。
「惇の馬鹿!に…にやけてんじゃねえ!!」
腕で惇を押しのけようとするが背が低いうえに力も及ばなかった。
もともと女くさい服装と化粧が嫌いだった王琴は参謀の服装ができたことをすごく喜んでいる。女の服装では肩幅が狭く自分の肩が痛くなる。彼女の方はほかの女よりかは広い。戦に出ることも楽しみだった。織物よりかは兵法が好きだった彼女。思想はどちらかと言えば男寄りだ。
「ふっ、言葉だけ真似ても俺はあざむけないって!」
惇が笑って王琴を見た。口元に人差指を立ててみせる王琴。
「ちっ、声がでかいぞ!もう少し静かにできないのか!」
そのとき曹操の側用人が惇と王琴を呼びにきた。戦闘準備の会議が始まるらしい。これでだれがどこに着くかが決まる。張遼は兵糧が山にあるとだます作戦を出したが王遼に止めておけと言われた。
「王遼、どうして相手の心理までわかる?」
驚く張遼も見ずに発言をする王遼。
「私が思うには、水上での戦なのに、陸に軍の大事なものを置いているとは考えないからです。」
「ほう、そうか。王遼の言うことも一理あるが張遼には試させてみることにしたい。」
曹操がうなずきながら言った。張遼は礼をして作戦実行に移った。
王遼は心配になって張遼の後をつけた。
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