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小説(ノベル)

姉と私 (執筆中)

作:u-my / カテゴリ:ショートショート / 投稿日:'09年12月28日 18:31
ページ数:4ページ / 表示回数:1373回 / 総合評価:1 / コメント:4件

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「鍵」

 「それは外しちゃダメだ、って言ったでしょうに。」
鍵を外してしまったので、姉に叱られた。
何の鍵かと聞かれると、困るので答えることは出来ない。
そして、私は鍵のつけかたを知らないので、なおも姉を怒らせるのだった。
 「もう。
  つけられないんだったら、無闇に外さないでちょうだい。」
そう言って怒りながらも姉は、実に簡単に鍵をかけてゆく。
私が簡単に外した鍵を、姉は簡単に鍵をかける。
そして、私が手をつける前の状況に戻ってしまった。
ああ、外したい。
でも、また姉に叱られるのも嫌なので、その場を離れることにした。
その時。
中から声がした。わずかだが、声がした。
私は急いで姉を呼んだ。
 「姉さん、姉さん。」
 「何よ。また外したの。」
 「違うの。違うのよ。中から、中から声がしたの。」
私が言うと、姉の表情が少し変わった。
何処がどう変わったかと聞かれると答えられないが、それでも少しだけ変わったのだ。
 「・・・本当なの。」
 「本当よ。私は耳がいいでしょう。だから聞こえたわ。中から、声が聞こえたわ。」
すると、姉はそれに近づき、鍵を開けようとした。
かちゃかちゃと、鍵を外そうとした。
私は、いつも簡単に鍵をかける姉の姿を見ていたので、簡単に鍵を外せるものだと思っていた。
しかし、姉の手が右へ左へと動いても、鍵は外れなかった。
私が簡単に外すことの出来る鍵を、姉は外せなかった。
 「姉さん。代わりましょうか。」
おそらく、普通に口から出る言葉であろうものを、私は言った。
しかし、姉の目はもちろん、耳までもが鍵に集中しているようで、私の声は流された。
邪魔をされたくないのだろうな、と思い、私はしばらく姉を見ていた。
けれど、それでも鍵は一向に外れなかった。
姉の手が、がちゃがちゃと動く。
いくら経っても、姉はがちゃがちゃと鍵をいじっていた。
やがて私は、どこか妙なことに気づいた。
中から、何かがあふれていた。
その正体が私には分からず、思わず見てみぬふりをするのだが、それは明らかに姉の手にかかっていた。
けれども姉は、その何かを全く気にしていないように、相変わらず鍵をいじっている。
 「姉さん。それは何なの。」
聞いても、姉は答えずに鍵をいじっている。
今度は、中の何かに聞いてみることにした。
「ねぇ。あなたはなあに?
 あなたは、姉さんをどうするつもりなの。」
すると。
聞いた途端、その何かは、一気に外へとあふれ出した。
何処にこんな大量のものをしまえたのだろうか、と思えるくらいの何かが、部屋じゅうにあふれだした。
それでも。
それでも姉は、相変わらず鍵をいじっていた。
やがて、その何かは、部屋を全部飲み込んでしまった。
私は必死にもがいたけれど、それでも何かが溢れるのは止まらなかった。
姉は、相変わらず鍵を外せなかった。


※この小説(ノベル)"姉と私"の著作権はu-myさんに属します。

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深い 1
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この小説(ノベル)へのコメント (4件)

mAsAo

'10年4月16日 00:47

この小説(ノベル)を評価しました:深い

だいぶ前からこのノベルに投稿しようと思ってました。
受験が終わるまでは登録してもあんまり参加できそうになかったので、こんなに遅くなってしまいました。スミマセン。

三つとも不思議なストーリーでなんとも言えないんですが、なぜか心にこびりつく様に長いこと気になってたんです。
日常と空想がなぜか自然に混じり合っていて、読んでいると心が静かになる、というかノベルの世界観が寸分足りとも完結に創られているように感じました。
だいぶ前の投稿に対してですが、コメント見てもらえたら光栄です。

u-my

'10年4月16日 18:21

こんにちわ。受験勉強お疲れさまでした。
前から気にかけてくださったようで、ありがとうございます。

非日常な出来事が、世間で当たり前な光景になったらいいなあ、という妄想の産物ですね。(笑
「何故か気になる」ものを作れたらなと日々思っているので、そう言っていただけるのは本当に嬉しいことです。ありがとうございます!

これは短編を気が向いたときに書いてつらつらupしていこう、というつもりで書いているものなので、今後も増えていく予定です。
また機会があったら気にかけてくださると嬉しいです。
コメントありがとうございました!

mAsAo

'11年6月13日 02:30

更新されてたんだ!

ノベルは最初の投稿日しか表示されないので覗かないと分からないんですよ〜
いっそ連絡くださいω‐笑


姉と私、この微妙な距離感と絆みたいなのが男やってると分からないので羨ましくも感じました。(姉はいますが姉と弟はまた違います)


u-myさんは人やモノの形と心の間にある摩擦みたいなものを伝えようとしているのでしょうか。鹿や手の話にも感じたことだけど。
あるべき形、理想の形、みたいなのが現実には存在していて、知らず知らずに心や人との繋がりまでも浸食されかねない、みたいなことを言っているような気もします。
って、つらつら書いていることが実は感想でなくて自分が日頃思っていることだったりもして(笑)


>そんな男のせいで、姉がただの人形になってしまうだなんて。
なんだかとても、許せない気がした。

ここがなんとなく象徴的に感じました。
そんな男のせいで、何気ない一言で姉がただの人形になってしまう。
なんだか妙にリアルでぎゅっと締め付けられます。
本当に些細な一言で自らのあり方や形を不自然に歪めてしまう人が実際にいるから。
ラスト、姉がマネキンにならずにすんでよかったです。
私は姉の安定剤みたいですね♪

u-my

'11年6月16日 23:34

すみません、ひっそりこっそり、追加してました。(笑
この仕様、ショートショートには向かないんですね・・・悲しい。。。

「伝える」どうこうより、ただ書きたいものを書いて公開しているだけなのですが。。。(^^;
非日常的な物事を、日常の中に出来るかぎり溶け込ませて表現したい、というコンセプトで今は書いております。だってただの作り話だから!
少し不思議で、不気味で、だけど人物が思うことは普段の私たちと同じ。みたいな?
ちょっと言葉にできないんですが、不思議なお話として読んでくれればそれでいいです。
「マネキン」に至っては、ふつうのお話になってしまったので、自分でもちょっとびっくりしてます。ふつうのお話書ける! と大発見でございました。

ああ。
ちなみに、わたしに姉はおりません。(笑

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