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「王琴殿…貴公はまだ未来とやらに帰らねばならないのに。どうして…。」
上を向いても泣きやめない張遼。自分の顎髭に涙が伝わるのがわかる。1日たっても2日たっても、王琴の声が聞こえない。子供に乳を与えるべき母親がこんなことでいいのだろうか。
張遼が天に向かって悲しい声で叫んだその時だった。
「遼…遼…、文遠…張遼!!」
どこから自分の名を呼ぶ声がした。後ろを振り返っても誰もいないのだが肩にだけは温かい感覚を感じる。
「もしかしてその声は父上でしょうか?どうして私の成人した時の字がわかるのですか?」
「遼、泣くな。彼女にも宿命があるのだろう。仙人から話は聞いたか?仙人がその後のことを思って私を遣わしたのだ。彼女の犯した大罪の罰がこれなのだ。彼女は歴史を覆したがために、意識がないのだ。」
張遼が真面目な顔をして父の顔を見つめる。
「どうしたら彼女の罰が取り下げになるのですか、父上。」
父は張遼の顎を撫でながら話した。
「そうだな、お前の努力次第だ。お前は彼女の時代に行けるし、彼女もその時代にいられる。だがな、遼よ、私が教えておこう。彼女の名は王琴などといったものではない。山崎絵美だ。一人の倭人なのだ。」
張遼は一瞬耳を疑った。倭人は野蛮だと皇帝から聞いていたからだ。
「えっ、父上、私の恋の相手は野蛮だと有名な倭の方だったのか?あの始皇帝も見つけられなかった国の娘だったのですか?」
「そうだ。彼女は私たちの生きた1800年も後から来た。だがな、彼女は当時の倭人と違って賢く、優しいだろう?そもそも倭の女は男と違ってやさしいのだ。遼。言っておこう。このことはここだけの秘密だ。彼女のいきさつ、本当の名前などは、曹操様であっても他聞してはならんぞ。さもなくばお前にも神からの罰が下るだろう。もしもお前が私の言ったこのことを他聞しないと今ここで誓えば山崎という女と、その息子の命の無事を保証しよう。仙人にもこの息子の名付け親になってもらおう。」
張遼は一生懸命筆を動かして父の言う事を紙に書きとめた。
その翌日山崎は何事もなかったかのようにその目を覚ました。
「将軍、いたのですか。わが子は…生きていますか?何日もこんこんと寝てしまいました…。申し訳ありません。」
「いや、昨夜、仙人からの使いにあった。」
「それでその方は何と?」
「王琴よ、私の為に一つのことを誓ってくださらんか?」
「何ですか、張将軍?」
「貴方のいきさつをだれにも話さないと誓ってくれるか?」
※この小説(ノベル)"遼来来!!"の著作権は日本の張遼さんに属します。
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