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美しい川 (完結作品)

作:芥子壼(けしつぼ) / カテゴリ:未分類 / 投稿日:'16年8月1日 22:24
ページ数:2ページ / 表示回数:回 / 総合評価:0 / コメント:0件

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本編

50年程前、その川は何の変哲もない川でした。
田吾作どんが文句を言っています。
「川上からワケのわからないものを流して、
オレ達のすみかまで、汚しやがる。」
高度経済成長のイケイケドンドンで
工場の汚染水がタレ流されていました。
でもワケあって、文句が言えずに
じっと耐えていました。

ある日、なぜか川は綺麗になりました。
それは工場は汚染水をろ過し、
たれ流すのをやめたからです。
川下を、住処とする田吾作どん達は、
喜びました。
ビッグニュースも飛び込みました。
なんと、どこからか、
食べ物となる魚が毎年やって来るのです。
田吾作どん達は、川が汚くなる前よりも、
豊かな生活になりました。

さらに、日が過ぎると、
魚が全く来なくなりました。
案の定、飢えて死ぬものが多数出ました。
田吾作どんと、友の太兵衛どんの会話です。

「田吾作どん!しっかりせぇ!」
「今年は食いもんが少ない。
わしも死にそうじゃ...。」
ガクッ...。
「田吾作どん!田吾作どん!
どうしたんじゃ?
今年は本当に食いもんが、来ん!
よし!ワケを確かめに川上へ行くべ!」

太兵衛どんは、川上へ行きました。
そこには、見慣れない人間が叫んでいました。
「生態系を守ろう!魚を放すな!」
現地のイベント主催者が、
場をしずめようとしています。
「そんな事を、急に言われても...。
40年間、毎年しているのですから...。」
陰で聞いていた太兵衛どんは愕然としました。

人間達は、自分達で汚くした川を、
綺麗にできた記念として
魚を放流していたのです。
それが食べ物になっていたのでした。
また、「生態系が狂う」とやらで、
放流をやめていたのでした。
全ては人間達の身勝手な自然愛護のせいでした。

太兵衛どんは人間が分からなくなりました。
腰も抜けその場で果てました。

食べ物がなくなった魚達はさらに多くなり、
大量の死骸が浮かびました。
そして、人間達はワケに気付かず、
放流した魚を食べ物にしていた鯉やフナ、
田吾作どん、太兵衛どんを弔い、
更に、美しい川にしました。

めでたしめでたし...。ではないですよね。

※この小説(ノベル)"美しい川"の著作権は芥子壼(けしつぼ)さんに属します。

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