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小説になってみない? (執筆中)

作:朝野満月 / カテゴリ:青春/友情 / 投稿日:'13年1月3日 21:14
ページ数:1ページ / 表示回数:回 / 総合評価:0 / コメント:0件

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 雨の降る古い旅館。Sは一人で狭い部屋で外を眺めていた。と言っても外は庭が見える訳でも、空が見える訳でも、ましてや海が見える訳でもなく、ただ隣の旅館の外壁が見えるだけだった。それでも一応旅館の窓からなのだから、隣の旅館との間に植えてある松の木ぐらいは見えた。……松だと思ったのはSが樹木に対して興味も知識もなく、「旅館と言えば松かな」と思っただけだからだが。
 まだ冬が終わったばかりの今の時期は、雨の日に窓なんて開けたら少し寒いが、構わずSは窓を開けて雨を眺めていた。ぽつんぽつん庇から落ちる雨粒、松の枝からしとしと続く雫、糸のような霧のような灰色の雨。
 別に何を考えていた訳ではないが……いや、ぼんやりと、本当にぼんやりと考えていた。「私はなんでこんなことしてるんだろうなあ」

 Sが一人で旅館にいる理由。それは簡単だ。一人で泊まりに来たからに過ぎない。ではなぜSは一人で、まだ十代の女の子一人で泊まりに来たのか。
 自棄だったり、悔しかったり、少し悲しかったり。そんなよくある少女の感情からだった。Sは高校を卒業したばかりの十八歳。卒業……と言えば、学生にとっては卒業旅行なんかが定番なんだろう。Sは卒業旅行に誰にも誰からも誘われなかった。自分から声をかける勇気もなかった。
 そもそも――友達三年間居なかった。それでもいじめは無かったし、特に友達が居なくて不自由もしなかった。Sはそれでいいと思っていた。友達はそんなに魅力的なものに見えなかったこともある。誰が誰の悪口を言っただとか、誰が誰ちゃんの好きな人だか彼氏だかと仲良くしてただとか。恋愛も人間関係も面倒くさい。そうだ、私にはそんなものいらない。いらない。いらないんだよ。無駄に馴合って擦れ違って、傷つけあって傷の舐め合いをして、それだけじゃないか。
 まあ、それが青春だとか。一生に一度の思い出とか言うんだろうけどね。雨の落ちる速度に引き出されるように自分の中で呟いた。自分がなぜ一人で旅行なんて来てしまったのかは、もうとっくに気が付いていた。ちなみに、一人で旅行に行くと親に言ったときは心配もせずにお金だけ渡してくれた。バイトで「青春」やってる他の子からしたら、親から旅行費を貰えるなんて贅沢だよな。また心の中で呟く。
 
 雨を見るのに飽きた訳ではないが、Sは少し動きたくなった。素直に言えば、Sには珍しく、なのかSにしかわからないが、人と接触したくなったのだ。所謂人恋しい。だからと言って、クラス替えのときに社交辞令でアドレスを交換したクラスメイトにメールする気なんて……少し、本当に少ししか起きなかった。
「私はなんでこんなことしてたんだろうなあ」今度は本当に言葉にして呟いた。本当に本当に小さな声で。
 どうしたらいいのか本当にわからなかったので、とりあえずこの狭い部屋から出てみることにした。学校でもたまにやってた「適当に廊下をうろつく」だ。Sは薄暗く点けていた部屋の電気を完全に消して、スリッパを履いてドアを開けた。
 
 廊下に出たって何もありはしない。さっきいた部屋と同様に薄暗い廊下がちょっと続いていたり、エレベーターがあったりするだけだ。所詮は安い旅館。丁度春休みシーズンとは言え人は少ないのだろう。Sが泊まっていたのは二階だった。二階の廊下を歩き尽くしたので、ちょっと三階に行ってみたくなった。
 エレベーターに乗っても、やっぱり一人だった。人が少ないなあと実感しながら、扉が閉じるのを待っていた。ドアが閉まりかける。するといきなり慌てた、でも控え目で大人し目な声が飛び込んできた。
「すみません! 乗ります!」

 女の子だった。学校で見るようなイマドキのきゃっきゃした女の子ではなく、華奢で肩に掛かるくらいのまっすぐな黒髪で化粧などしていない、それでも雰囲気が可愛らしい女の子だった。幼く見えたので、中学生だと思った。
 その女の子はながいウェーブの掛かったブロンドの白人の、こっちはとても大人びたお姉さんのような女の子と手を繋いでいた。「女の子」と言ったのは大人びた中にも思春期の未成熟な可愛らしさを感じたからだ。一言で纏めると「可愛い二人の女の子がエレベーターに乗って来た」
「あ、はい」そう言って、Sは「開」のボタンを押した。

 白人の女の子が何か中学生の女の子に話しているようだ。話しているというか、ボディーランゲージだ。すると中学生の女の子が話かけて来た。
「あの、三○五号室って何階ですか?」
「え?あ、三階ですよ。私も三階で降りるので三階にも止まりますよ」
「ありがとうございます!」
 中学生が明るくお礼をした。そして驚いた事を言ったのだ。
「あの……いきなり失礼ですが、すごく綺麗ですね」控え目に笑いながら言った。
 Sは驚いた。自分が綺麗なんて思ったことはない。寧ろ青春を謳歌してる同級生が眩しいくらいで……。
「え、いや……失礼じゃないですけど……。私は全く綺麗じゃないですよ」
「そんなことありませんよ。私は上手く言葉に出来ないのですけどね――えと、お名前なんて仰るんですか?私はFと言います。高校を卒業したばかりです」
 Sは驚いたままに答える。
「Sって言います。私も高校を卒業したばっかりで……」
「じゃあ、卒業旅行――じゃないですよね」
 Fはここだけは悪戯っぽく、くすっと微笑みながら言った。Sはちょっとむっと怒ったように、でもやっぱりびっくりして聞いた。
「なんでわかったんですか?私が友達居なそうだからですか?」
 Fは申し訳なさそうに言った。
「いえ、一人で雨を見るのが好きそうな方に見えたので」
 Sは何も言えなかった。答えることが出来なかった。何故さっきまでの自分をわかったのだろう……というよりも、もっと自分の核心を突かれたようで。この子は何者なのだろう。何故私の事をこんなにも理解してくれるのだろう。……理解?何を、何が理解されたと言うのだろう。そんな疑問が、解けない問題が時間切れで終わるように、エレベーターは三階に着いた。

「三階に着いたのは良いんですけど、三○五室ってどこなのでしょう……」Fが恥ずかしそうに呟いた。いや、しかしこれは、この声のトーンに含まれるものは……。それは私の願いだろうか。Sは心の見えない隅でそう感じながら答えを言った。簡単な答えを。
「三○五なら左にまっすぐ行けばすぐそこですよ。……あの……そこまで案内しましょうか?」すぐに慌てて付け足した。
「いや、本当にすぐそこなんですけどね!」
「じゃあぜひお願いします!」

 そんな訳で三○五室の前に着いた。「着きましたよ」と言った後に、Sは素朴な疑問を聞いてみた。実はとても聞きたかったことなのだが、Sが他人に質問するのは珍しかった。しかもさっき会ったばかりの他人に。
「そちらの外国人の方はホームステイの留学生か何かで来てる方ですか?」
Fはまたくすっと笑った。SはFの笑い方が松の葉から落ちる雨粒の様だと思った。
「いえ、さっき会ったばかりの知らない方です。どうやらこの部屋が分からなくて困っていたようなので。この方の名前も国も知りません。あ、でも『ロシア』だけ聞き取れたのでロシアの方じゃないですかね」
 Sはもう色々驚くしかなかった。でも一番はこの中学生に見えるFがそんなに積極的な子だということにも驚いた。Fには驚かされてばっかりだ。Fの事を知りたくなった。しかし、Sの中の何かがそれを阻んだ。言うなれば、壁。壁を乗り越えるか、壊すか、そもそもそんなことは諦めるか自重するか。しかし、別の好奇心には勝てなかった。好奇心……?Fに対する興味は好奇心なのだろうか。
「じゃあ、エレベーターで話してたのはどうしてたんですか?私にはてっきり言葉が通じてると思ってたのですが」
「それはですね……あ、それは部屋に入ってから話しませんか?」
 二階よりも少しだけ照明器具が新しい廊下でまだ驚いた。部屋に入って良いのか……しかもそこはFの部屋でもなく外国人の方の……。家族だっているかもしれないのに。
「ああ、部屋に入って欲しいって言ってるのはこの子です。一人旅だからぜひ来てくださいって」
 なんでFは言葉の通じない子と意思疎通ができるのだろう……自分勝手な思い込みだったらどうするのか。しかし外国人の子はニコニコ笑って手招きしていた。――多分大丈夫なのだろう。Sは不思議なことに、Fの言葉は信用できるような気がした。

 三○五号に入る。Sの泊まっていた部屋よりも少しだけ広くて少しだけ豪華に作られていた。外国人の子は座布団を差し出した。FとSは二人並んで、中央に置かれた卓に座った。部屋の片隅には大量の本が積まれていた。確かにロシア語の様だった。ロシア語英語辞典。ロシア語日本語辞典。日本語ロシア語辞典。
 ロシア人の子も卓に着くと、初めて言葉を言った。英語だった。日本語はまだ喋れないらしい。Cと言う名前らしい。そしてどうやら日本人がそんなに英語を聞き取れないのもしっているらしい。それ以外は話したことと言えば、教科書で習うような「初めまして、会えて嬉しいです。ありがとう」だった。そしてポケットからある紙を取り出し、私に見せた。そこにはそこう書かれていた。
『Человек человеку―лекарство.人は人の薬。』

 
 Fはまたあの笑い方をした。
「私が困ってたCに英語で『どうしたんですか?』って訊いたら、旅館の見取り図を指しながら『スリーゼロファイブ』って呟いた後に、この紙を見せられたのよ」Fは黒髪をさらっと揺らせて笑って続けた。
「面白いでしょ」
 間髪入れずに髪を揺らす。
「さて、本題なんだけど、あなた達、小説の題材になってくれない?それか三人で小説書かない?」
 先程の大人しくて控え目な印象とは打って変わって活動的なFになった。いや、積極的なのは変わってもいなかった。
「そうそう。Sさんがね、一人で雨を見てるって言うのは、服が少し湿ってたからね。あと髪も湿気で跳ねてたよ。私の感では、そんな事をしてる人は小説の題材になる! そして小説も書ける!」
 元気よく続ける。
「それからCさん! こんなに面白い言葉を持ち歩いてるんだから、きっといい言葉を知ってる!言葉が好きな人に違いない!」
 大げさなボディーランゲージでCに伝えようとする。Cは楽しそうに理解してるように見えるのがまた不思議だ。
「Sさん!きっとSさんは人と違った目線で世の中を見てる! それを言葉にするの! できないなら私にやらせて!」
 ついにFは立ち上がった。
「私は小説家志望のフリーター! 題材探しと切磋琢磨の為に旅をしてます! 言葉はうそつきだけど、観察すれば本当の事を教えてくれます! 私は素敵な二人を見つけました! お願いします!」
 
 そういうい経緯で私はこの処女作を書いた。私が人と違った目線で見れてるかは……これを読んだ方に任せます。そしてFにも書かれました

※この小説(ノベル)"小説になってみない?"の著作権は朝野満月さんに属します。

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