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花魁アンプリファイア (執筆中)

作:怨-on- / カテゴリ:ライトノベル / 投稿日:'12年11月11日 12:29
ページ数:8ページ / 表示回数:回 / 総合評価:0 / コメント:0件

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弐.漏れる吐息

左衛門様は茶屋でかなりの金額を支払っていた。
花魁に近づき、馴染みとなるにはそれほどに格を気にしなければならない。
花魁と馴染みになることは自分の格を示すことにも繋がる。
花魁には一番上の位から、太夫、散茶、座敷持、呼出しとある。
散茶の良寧様は、とても美しく、位も高いお方だった。

「静流殿、お迎えご苦労であった。これを…」

三度目、という特別な日だからか左衛門様の財布の紐は軽い。
静流にいくらかの金を渡し、ふと柴乃に目を向ける。

「おや?静流殿、こちらの禿は初めて見るな。」
「へぇ、禿の柴乃言いますー、ほれ柴乃、左衛門様にご挨拶しんさい」

ぽんっと頭に手を置かれ柴乃はハッとして左衛門に挨拶をする。
「禿の柴乃と申します。お見知りおきを…」
ふんっと鼻を鳴らし左衛門が聞いてくる。
「ほう、これは大層美しい禿じゃな。忘八殿のお気に入りであるかな?柴乃よ、年はいくつじゃ?」
「十四でございます」

ほう、と左衛門は一息つき、静流に目をやる。
「十五になれば振袖新造であろう?廓言葉(くるわことば)を覚えてはおらんのか?」
静流はふふっと笑い、それから続けた。
「へぇ、わっちは教えてはおりんせんが、どうにも覚えが悪いようで…」
そう言われ柴乃は自分の頬が火照っていくのを感じていた。
夜の道、人通りも全くなくなってきていた。
目の前の角を曲がれば遊郭である。
左衛門の嬉しそうな顔ときたらこの世の全てを手にした御仁のようであった。

左衛門は二階へと続く階段まで静流と柴乃に案内されるとあとは一人で良い、と他の客と変わらぬ事を言い二階へと上がっていった。
静流は仕事があると柴乃に告げ、紅を引き夜の帳へと消えていった。
それとほぼ同時に柴乃のもう一人の教育係でもある呼出しの神楽(かぐら)が柴乃を迎えにやってきた。

「これ柴乃。そなたも今年で十五でありんす。そろそろ夜の営みを知ってもらわねばなぁ。」
そういうと神楽は二階のほうへと目をやった。

「良寧様の部屋の横、座敷持の夕姫(ゆき)様が客をとっておる。その部屋の横は空いておる。今晩そなたはそこで一晩過ごしておいでなし」

柴乃はきょとんとしていた。
今まで客が泊まる二階へとあがることは許されていなかったのである。
しかし柴乃は現在十四。今年の冬には十五となり、左衛門の言っていた「振袖新造」になるのである。
振袖新造とは遊女の見習いのことであり、花魁へと進んでいく道の中で十五から十六の遊女見習いをそう呼ぶ。

柴乃は振袖新造となる為にも夜の営みを知っておかなければならない。神楽につれられ柴乃は夕姫様の部屋の隣、真っ暗闇に包まれた部屋に一人で取り残されたのである。

「どうしよう…」
柴乃は一人ぽつりと呟いていた。

神楽から言われたことは、じっと座っているだけでいいということ。
隣を覗こうとは夢々思ってはいけないということ。
これは振袖新造になるための試験のようなものであるということ。

「座っているだけでいい」、そう言われた意味が柴乃にもわかった。
「あッ…あァ…あん……」
闇の中で聞こえる夕姫様の淡い淡い吐息。
ギシッ、ギシッと床が軋む音が聞こえる。
柴乃はこの時覚悟を迫られていた。

「いつか、わっちも…」
唯一覚えている数少ない廓言葉をぽつりと呟いた。

-弐.漏れる吐息-完

※この小説(ノベル)"花魁アンプリファイア"の著作権は怨-on-さんに属します。

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