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三つの言葉が織りなす物語 (執筆中)

作:たっぺい / カテゴリ:ショートショート / 投稿日:'11年9月24日 22:18
ページ数:12ページ / 表示回数:回 / 総合評価:0 / コメント:0件

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【世界の終わり、ボーイミーツガール、日常】

 ――あと、三日。

 あと三日でこの地球がなかったことになる。

 人類の予想として、地球は徐々に枯渇していきやがて終わりがやってくる、なんてものがよくあがっていた。もしくは隕石の衝突だろう。
 しかし、地球が太陽に突っ込んで終焉をむかえるなんて誰が考えただろうか。
 流石にそればかりは予想外だった。
 何百年もの期間に地球の軌道は元々のそれから少しずつ逸れていた。その間に他の惑星などとの衝突がなかったのはまさに奇跡的だと思う。
 正直地球の最後が近づいている未来はもう何十年も前からわかっていたことだった。だがそんな時にまで人類は己に降りかかる責任を恐れ、まともな行動に移れずにいたのだ。心底愚かしいことだ。
 温暖化がさらに拍車を掛け、地球から緑と北極は姿を消した。
 僕の日常は一変した――とまではいかなかった。むしろさほど変化はない。
 以前から人との関わりを避けていた。無闇に騒ぎ立てるばかりの低脳な馬鹿ばかり。とても同い年とは思えない。思いたくない。
 見たくもないが、窓の外では下劣な輩が街を横行している。
 暴力、破壊、強姦、窃盗……。数え切れないほどの犯罪が多発している。だが今となると犯罪を犯罪として誰も見ておらず、咎めようとしない。当たり前だ。あと三日で全てがなくなるのだから。
 とやかく言う僕も罪を傍観しているだけの存在の一人。
 今日はもう寝よう。起きていてもするべき事がない。食事も用便も済ませた。
 僕は壁にもたれかかったまま目を閉じ、阿鼻叫喚のなか眠りに就いた。

□■□■□

 起床すると両親は家から姿を消していた。
 ガレージに駐められていたはずの軽車がない。我が子を見捨てて何処か遠くへ逃げたらしい。
 何処へ行ったところで結果は変わりはしないのに。
 戸を閉め、玄関に飾られている家族写真には両親と二つ年下の妹、そして無愛想な顔をした自分が写っている。
 笑っている両親の顔を一瞥し、舌打ちする。
 僕は自室に戻るために階段を上ろうとする。
「…………っ……ぁっ……!」
 階段のすぐ隣りに位置する部屋から妹の声がした。だが様子が違う。
「…………」
 別に中をうかがおうとはしない。どうでもいいが野暮ったらしい事だと思うから。
 玄関に見慣れない男の靴が無造作に脱ぎ捨てられていた事くらい、見逃す訳がない。

□■□■□

 今日は何をするか……。
 外の光景はいつも通り、外出する気など毛ほども思わない。
「ふぅ……」
 こんな事になってから、溜息の数が一段となって量を増した。
 終焉が来るなら、早いこと来てほしい。
 死を恐れていないわけではない。
 どうしようもないことの区別くらいはつく。
「ふぅ……」
 何かをする気が沸かない。
 妹のことを思うと一階に下りるのも気が引ける。
『きゃあ!?』
 そんな事を考えていると、一階で戸が勢いよく開かれる音とともに妹の小さな悲鳴がした。
 すると次に階段を上ってくる足音。僕の心臓は何度も大きく跳ねる。
 足音が、止まった。
 その音の主は、この部屋の戸を挟んだすぐそこにいる。
 そして戸が開かれる。一階でしたものとは違い、今度のそれはゆっくりと開かれた。

□■□■□

「……誰?」
 開いた戸の隙間から僕と同年代くらいの少女が顔を覗かせた。
「やっぱり他にもいたんだ、人」
「随分な言いようじゃないか。他人の家にずかずかと上がり込んで、そんな口が利けるなんて」
「いいじゃない。あと二日、今さら家宅侵入なんて可愛いもんだよ」
「そうだな」
 彼女は僕の返答を聞くと、目を大きく開いた。それ以上の大きなリアクションはしない。
「随分落ち着いているんだね。外で騒いでいる人たちと比べると雲泥の差だよ」
「雲泥ほどの差しかないのか……。小さく見られたものだな」
「そうかもね」
 今度は僕がさっきの彼女と同じ反応をさせられた。
「こんな言い方をして、まともに聞き入れてくれたのは貴女が初めてだよ」
「そう? まあそうだろうね。私もこんな話をまともに出来るなんて、君が初めてだよ」
 彼女は微笑みながら小首を傾げ、愛嬌のある素振りをしてみせた。
 そうか。
 彼女は自分によく似ているのだ。

□■□■□

 彼女は僕の隣りで腰を下ろした。膝を胸に抱え、三角座りで状態をゆらゆらと揺らす。
「下にいたのってお兄さん? 妹さん?」
 彼女は自分が入ってきて、開けたままの戸を見つめながら訊く。
「妹だよ」
「ははっ、やっぱりそうか」
「よくやるよな。外からでも中で何やってるか大体わかっただろ?」
「うん、二人に凄い目つきで睨まれちゃった」
「だろうな」
 戸を見つめる目はこちらに向けられ、笑顔を見せる。
 彼女といると楽しかった。今までに感じたことのない感覚だった。

□■□■□

「何で家に来たの?」
 ここで一番の疑問が僕の中に蘇った。
「来ちゃ、だめだった?」
 すると、さっきまで笑ってくれていた彼女の表情は一気に曇る。
「別に、そうは言ってないけど、ただ……疑問に思っただけ」
 ふいと彼女から目線を外し、鼻の頭を掻く。
「……何でだろうね」
「理由もなく来たんだ」
「……そ」
「恐くなかったの?」
「え?」
「僕がほら……貴女を襲う、かもしれないのに」
 目線は逸らしたまま、それを言うのに耳まで真っ赤にする。
「信頼してるからじゃないかな」
「信頼って……初めて会ったのに」
「それでも何となくわかるよ。それに――

――君になら別にいいよ」

 彼女は頬を紅潮させながら、大胆な事を言ってのけた。
 僕は心臓が口から飛び出してしまいそうだった。
 ――彼女の肩に手をかけ、そのまま押し倒す。
 そんな事は容易いことだし、彼女自身それに従うだろう。
「……やらないよ」
 だからこそ僕はそう言い放つ。
「……あまのじゃく」
「……それでいいよ」
 謎の多すぎる彼女はそれからもこの部屋から離れようとしなかった。
 僕が部屋を離れても彼女は僕が戻って来るのをずっと待っていた。
 逆に不気味にも感じ始めたが、僕は残りの二日間が、今さらになって惜しくなった。


~fin~

※この小説(ノベル)"三つの言葉が織りなす物語"の著作権はたっぺいさんに属します。

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