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鳳仙花 (執筆中)

作:槻* / カテゴリ:青春/友情 / 投稿日:'10年6月7日 15:27
ページ数:8ページ / 表示回数:回 / 総合評価:0 / コメント:0件

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session 07 ~引きこもりの楓~

僕の部屋はいつも電気が点くことはそうあることじゃない。
普段は暗くて、明かりといえばパソコンの液晶画面くらいだ。
人と対面して、肉声で話すのは苦手だ。
僕の価値が上手く見出せないから。
いつも部屋は鍵を閉めて、自分だけの異空間が出来ている。
父母にも必要以上は会わないようにしている。

とんとんと部屋を叩かれる音がした。この時間帯は母かな。
「楓…?ご飯、ここに置いておくわね。食べなさいね?」
常にパソコンと向き合っているからと言って、特にすることもないんだ
誰かに対しての復讐心から掲示板などに愚痴を書くこともしないし
アニメやヲタク系の趣味に没頭して24時間費やすなんてことは
僕にはとてもじゃないが出来ない。

しかし、それすらをも否定しかねないように自分の頭の中で
何かが謎めいているのは確かな出来事だ。それが何で、何の目的で
登場し、一体自分に何をさせたがっているのか。それを知ろうとして
いるための途中経過に過ぎないのかもしれない。自分の価値は"無"だ。
対面して人と話したところで己の価値が見出されるとは思えない。
よって心が動こうとしないのだ。

一体、僕は何がしたいのか。生きたいのか、死にたいのかさえ
分からない。左手には無数のリストカットの傷、
腹部にはカッターで、えぐった時の傷が治っても尚、痕を残した。
でも、これは違った。僕の思い描く、想像してたものと
かけ離れていた。僕は、なんのために生まれてきたのか…。どうして、こんなにも悩み続け苦しい思いをしなければならない毎日なのか。
不思議でたまらない。

いままで100という答えなら、とうに出尽くしている。
しかし、この底なしから解放されると思ったら新たな溝に嵌る。
自分に自信がないだとか、生きる希望を失ったとか…
そんな簡単な言葉で片付けられるようなことではなくて
それらはみんな大ハズレなんだ…。自分自身にというよりは、
自分の価値と自分の思想に自信がないんだ。ゼロのままで
変わらない。この状態で常時、僕という人間が構成されている。

考えれば考えるほど、もがき苦しくなって脳内の血管1本1本から
次第に体外へ血が噴き出して顔中、血だらけになるのではないかと
いうくらい、思考が謎が邪魔をする。パンクどころか視界や
心も惑わされ、常人を保てなくなる。興奮して冷静さを失い
自分が自分でなくなってしまうんだ。僕がパソコンを向き合うことは
画面を見て集中すること。つまりは、考えることを一時的に
抑制しているだけかもしれない。

こんな僕はいったい、どうなってしまうんだろうか。
今日は疲れたな。軽く寝よう。このまま、目を覚まさないでいたら
いまよりは幾分、楽かもしれないな…。
頭を掻き毟ったのか、額から血が垂れてきたが、血を止めるのも
面倒なので垂れ流しにした。ご飯を食べることに意味はあっても
そこまで引かれる価値はないので、したくはないが腹は減る。
面倒なものに生まれてしまった。

ベッドで横になり、軽く目を瞑るが心の中を無数の黒い風が
えぐり倒してくる。この恐怖心は消えたことが無い。夜中に
何度目を覚まして起きることか…。そんなことを考えつつ
パソコンに映る画面をそっと眺めた。するとピンポーンと
インターホンの音がした。

珍しいな、家に人が来るなんて…。母の友達か?
部屋の窓から、少し覗いてみた。
すると自分と同じくらいの年齢の男女が数人立っていた。
どういうことだ…?ここで、またしても溝に嵌った。新たな謎が
僕を襲いかかる。
「……うわぁあぁああああああああああああああああ……」
頭の中に嫌な感情と想いが自分を乱そうと困惑させる。
その感覚が残酷でいて、とても気持ち悪い。神経そのもの魂ごと
持って行かれそうな感覚だった。精神的にズタボロ状態だった。
血涙が流れることなんて、もう慣れた。しかし、この精神を崩壊させんばかりの苦痛は耐え難かった。
「…止めてくれええええええええええ……うぐううう………」
僕はそのまま気を失った。

「はい、はい、はいと…。どちらさま?」
楓の母親が出て行くと、男が1人、女が1人、
男…?女…。お、女が1人立っていた。
すると、真ん中で立っていた女の子が
「あの、自分ら和泉ヶ丘環境大学のものですが。」
と、少し小さめの声で呟く程度に話すと楓の母親も続けて
「あぁ、楓と一緒の大学の子たちね!!どうしたのかしら?」
と優しく返してくれた。

3人は意気込んで、お互いを見つめあって頷き事情を話し始めた。
「あのですね………。」
実は、いまから30分程前…

「今日は部室の掃除をしつつ、片付かり次第、機材を配置していく
から。いよいよ明日から練習だな。お前ら、手伝えよ~?」
「お前は、ちゃんと働くんだろうなあ?結にばっか押しつけて…
男としてだらしないぞ!」
「ちっ。結が別にいいって言ってたからだもんね。」
「子供か!お前は…!!」
「……ははは…。」
「あれ…。学長がいやがる…。なんだろう?」

3人が部室に行くと、学長が部室の椅子に座って土橋たちが来るのを
待っているかの様子だった。
「やあ。元気かい?」
土橋は迷わず学長の頭に頭突きして
「要件を言いやがれ。」
「…うっうう…。いたた…。実はだね……」
『えぇえええぇ!!!?』(3人同時)
そう、実は土橋のように授業に出ずに単位がやばく起死回生の手段を
設けられていた生徒が、もう1人いたのだ。こちらの生徒も学長
直々に話したものであり、この話は土橋に話をするより前のことだった。

「見損なったぜ、おっさん。オレ以外にも、他にいやがるなんてよ。」
「お前は単位を取れ。」
後からツッコミのように優が囁いた。
「はっはっは。上手いねぇ。お嬢さん。」
学長は上機嫌だった。幸せそうな学長と
学長の変なテンションについていけず絶句する3人。

学長の話によると、せっかくのチャンスを与えた生徒が話は
電話で聞いただけで、それ以来学校に一切来ていないらしく…。
新たに、その生徒を大学に来るように説得してみてくれないかという
難課題がプラスされた。これには、気絶しそうになる結と
いまにもブチ切れそうな優がいた。

「学長、お話は分かりました。しっかし…土橋ィ!!!!おめぇ、
なにやったんだよ!??」
「ひぃぃっ…」
下を向いて、半笑いで黙る土橋と急に叫んだ優に驚き
頭を抱えて丸くなる結がいた。
てな訳で、それも並行してこなさなくてはならないため…
聞いた通りの道を歩いてやってきたのである。

「…というわけなんです。」
それには、楓の母親も驚いた様子だった。
「そんなの初耳だわ。あの子が学長先生と、そんな話を電話していた
なんて。それより、わざわざ楓のために来てくれてありがとね。
だけど……あの子、いつからか急に誰にも会わなくなってお父さんや
私でさえ、会うのを拒むんです。以前から、取っ替え引っ替え
子供らしくないようなことを考えたり、話す子だったけど…。
こんな難しい子になるなんて……。ちょっと待っててね、一応…
聞いてみるから…。」

そういうと、楓の母親は階段を上って行った。
母親が上り切った所くらいだろうか、キャアアア…。という叫び声が
聞こえてきた。土橋たちは、迷いながらも後を追って階段を上ると
楓の母親が床に座り込んで、楓の方を指さしていた。
「……へ、部屋が軽く開いていたから珍しいなとは思ったんだけど…
ま、まさか…楓が……」
楓の母親は怯えているようだった。とりあえず楓を寝かせた。
額には爪で引っ掻いた痕があり、拭き取ってガーゼで当てて
軽く手当てを施した。

結は哀しそうな顔を浮かべて、楓を見つめている。
土橋は、楓の母親と話をしていた。優はというと…
楓の机やら、本棚やら至る所を隈なく見渡している。
すると、1冊の本を取ってパラパラと読んで再び本を戻して
今度はパソコンの画面を見て、何かを掴んだのか…
優は意味深な顔をして訊ねた
「お母さん、えと…楓さんは自分のことを大切にしてるんですか?」
その問いに少しの間、どういうことか分からずポカーンとしていた
楓の母だったが難しいことは考えずに普通に答えた。
「え、えぇ。最近では自分の存在意義がどうのこうの…とか言って
夜中に独り言みたいに話してるのが聞こえてきますわ。」
「…ほう…。」
優はにやりとして、胸に入っていたペンを口で開けて
さらさらっと1~2行書き足して、それをパソコンに貼った。

「お前、何してんの?」
振り返った土橋が不思議そうに訊ねた。
「まあまあ、いいじゃねぇか。なんとかなるかもしれない。」
それを聞くなり、まじかー。とだけ言って階段を下りてしまった。
結は何が起こったのかよく分かってない感じで土橋の後に続く。
優は頭を下げて、お邪魔しましたとだけ伝えて玄関を出た。
「お前、なんかあんの?秘策でも」
「まあな。」
「…う?」

優が残した秘策とは…?

※この小説(ノベル)"鳳仙花"の著作権は槻*さんに属します。

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